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 高速増殖原型炉「もんじゅ」の失敗を省みず、高速炉の実現をめざして巨費を投じ続ける。そんな工程表の骨子を、経済産業省が明らかにした。

 もんじゅ廃炉で破綻(はたん)した核燃料サイクル政策の延命は許されない。考え直すべきだ。

 高速炉は、プルトニウムを効率的に燃やすことができる。原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、再び発電に使う核燃料サイクルで中核的な役割を担う。国は1950年代から開発を推進してきた。

 ところが、1兆1千億円を投じたもんじゅは、20年あまりの間ほとんど運転できないまま2年前に廃炉が決まった。その際に関係省庁や電力業界、原発メーカーなどでつくった高速炉開発会議の作業部会が今後の工程を検討し、初めてまとめたのが今回の骨子である。

 福島の原発事故前は、もんじゅの次の段階の実証炉を2025年ごろまでに、商業炉を50年より前に実現する計画だった。新たな骨子では、もんじゅの後継炉の運転を今世紀半ばごろに始め、今世紀後半に高速炉を本格運用するという。目標時期をぼかし、先送りした形だ。

 炉の具体的な形式や出力の規模も示さず、採用する技術は5年ほどかけて絞り込むことになっている。とにかく開発が続いてさえいればいい、という姿勢が透けて見える。

 高速炉開発を断念すれば、核燃料サイクルの破綻が鮮明になる。そうなると、青森県で建設中の再処理工場をどうするのか、全国の原発でたまっている使用済み燃料をどう取り扱うのか、といった難問が噴出する。それを避けるには、高速炉の開発を続け、核燃料サイクルの破綻を取り繕うしかない。

 だからこそ政府は、もんじゅの廃炉を決めた際も、高速炉開発の是非を正面から総括しなかった。破綻した政策を延命するため、税金や電気料金の形で国民に巨額のツケを回し続けるのは無責任である。

 福島の事故を受けた安全対策の強化などの影響でコストが上昇し、一般的な原発ですら競争力を失いつつある。より技術的に難しく経済性でも劣る高速炉の実用化に、現実味はない。

 このため先進国の多くは開発から撤退した。熱心に取り組んできたフランスでも、いま、高速実証炉「アストリッド」の計画が行き詰まっている。そんな現実を、なぜ冷静に見つめることができないのか。

 限られた予算は、再生可能エネルギーのように将来性のある分野に有効活用するべきだ。

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