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 市町村などが運営する水道事業の基盤を強化するための水道法改正案が参院で可決された。今国会で成立の見通しだ。

 水道は暮らしに欠かせないが、人口減少などで水の使用量は減り、経営環境は厳しい。一方で、高度成長期に整備された古い施設の更新、耐震化などへの対応も、急務となっている。

 課題を乗り越え、安全な水を安定的に供給する体制をどう維持していくのか。水道事業改革の契機としなければならない。

 改正案でもっとも議論となったのが、自治体が施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」と呼ばれる手法の是非だ。

 今でもこうしたやり方は可能だが、自治体が事業認可を手放さなければいけなくなるため、水道事業での導入例はない。このため、自治体が事業認可を持ち、一定の関与を残す選択肢を新たに設けた。

 だが、海外では民間企業の参入で、水道料金の高騰や行き過ぎたコストカットによる水質の低下などを招き、再び公営に戻した事例もある。

 政府は、海外の失敗事例も参考に、条例で料金に上限を設けたり、自治体による監視体制を強化したりすると説明するが、どこまで実効性があるのか。

 水道は生命にかかわるもっとも重要なインフラだ。導入を検討する自治体には、住民の懸念・不安に応える丁寧な説明と、慎重な検討が求められる。

 そもそも民間が参入を希望するのは利益が見込める都市部が中心とみられる。課題が多い過疎地などの問題解決にはつながりそうにない。改正案のもう一つの柱である、市町村の枠組みを超えた広域連携こそ重要だ。

 広域連携の必要性はこれまでも指摘されていたが、水道料金の違いなど、それぞれの利害が絡み、市町村任せではなかなか進まなかった。今回、都道府県が旗振り役として、基盤強化のための計画づくりや協議会の設置をできるようにする。

 施設を共有にしたり点検作業を一緒に行ったり、地域の実情に合わせて可能なことから取り組んでほしい。

 各事業者には水道施設の管理に必要な台帳の整備が義務づけられる。水道施設の計画的な更新や、中長期の収支の見通しなどを立てるのに必要なものだ。

 人口減少時代に合わせ、水道インフラをどう再構築し、必要な費用を分かち合うか。自治体と住民が問題意識を共有し、水道事業の将来像を考える出発点としたい。

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