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 教員の長時間労働をなくす手立てについて、中央教育審議会の部会が答申素案をまとめた。

 いま先生たちが担っている仕事の、いわば「事業仕分け」をおこなったのが目を引く。

 給食費は口座振替にして集金や督促は自治体に、登下校の見守りは保護者や地域に委ねよう。休み時間の子どもたちの相手も、必ずしも先生がしなくてよいのではないか。学校行事や進路指導でも外部の人の手を借り、先生の負担を減らそう――。そんな提案が並ぶ。

 教員は過労死が多いとされ、心を病んで休職する人も例年5千人前後に及ぶ。「先生がするのが当たり前」と考えられていたものを、一つひとつ見直していかないと、いつまでも状況は変わらない。部会のそんな問題意識はうなずける。

 ただ実現するには関係者・機関との対話が欠かせない。

 保護者や外部の協力をどこまで得られるかは、地域で事情が異なる。教育委員会が入って学校、PTA、住民をつなぎ、納得ずくで進めなければ大きな混乱を招く。NPOとも連携し、放課後の子どもの居場所づくりや学習支援も進めてほしい。

 一方で、より根幹にかかわる制度改革については、素案は切り込み不足の感が否めない。

 従来「自発的な居残り」とされてきた部活動の世話なども勤務時間と認めたうえで、時間外の仕事は「月45時間まで」と目安を決めたのは前進だ。しかし自治体の判断で導入してよいとされた「変形労働時間制」には危うさがつきまとう。

 勤務時間の総計が通年で一定の枠に収まれば構わない。学期中に忙しい分、たとえば夏に休みをまとめ取りすればいいという制度だ。だが人間は「休みだめ」が利くようにはできていない。出勤が続いたらとにかく休ませる。残業の多い学校の管理職には研修を義務づけ、警告する。そんな歯止めが必要だ。

 基本給の4%を一律上乗せ支給するかわりに、何時間働いても追加払いはしないという、教員だけの特別法の見直しも、素案は先送りした。教員の「サービス残業」を金額に直せば年間9千億円に及ぶと推計される。

 直ちに是正できないまでも、ただ働きの放置は許されない。役割に応じて支給する手当の拡充など、当面できる対策を講じつつ、働きに報いる制度への移行を今後も探るべきだ。

 何より仕事量に見合う先生や職員を配置しなければ、残業はなくならない。対応が現場の業務改善や工夫にとどまっては、働き方改革の名に値しない。

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