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 地方税収の都市と地方の格差をどう調整するのか。問題の本質に向き合い、地方税制を抜本改革する意思は、安倍政権にはないのだろう。

 企業が都道府県に納める法人事業税はいま、その一部を国税に振り替えて地方に配分している。消費税を含む税制の抜本改革までの間、暫定的に税収の格差を是正する目的で、2008年度から始まった異例の措置だ。消費税率が10%に上がる来年10月に廃止の予定だったが、政府は19年度の税制改正で抜本改革をしないまま、このしくみを続ける。

 財政に余裕がありそうな東京都の税収をさらに削って地方により多く配り、手っ取り早く格差をならそうということだ。

 確かに、人口1人あたりの地方税収額をみると、過去5年の平均で東京都は最も少ない沖縄県の2・4倍ある。法人二税(法人事業税と法人住民税)では、奈良県の6・0倍だ。

 そもそも法人税は、大企業の本社が集まる東京都に偏りがちなうえ、景気によって税収が大きくぶれる。法人事業税だけで都市と地方の税収を調整するのは、無理がある。

 東京都の減収額は、18年度は法人二税で約4600億円だったが、すでに決まっていた見直しも含めると、来年10月以降はおよそ2倍に増える見通しだ。東京都民からみれば、地元で使えるはずの税金が他の地域に回ることになる。他の道府県には増収になるが、これでは、必要な財源を自前でまかなう意欲をそがないか。

 人口が減り、行政効率が都会ほどよくない地域を、財政面からどう支えるのか。東京の首都機能を含むインフラ整備費は、どのようなかたちで、だれが負担すべきか。双方の視点から検討を尽くさねば、調整の適切な水準は見いだせない。しかし政府・与党内から、突き詰めた議論は聞こえてこなかった。

 消費税収の国と地方の配分割合も含め、地方財政全体を設計し直す必要がある。抜本改革を置き去りにしたままでは、東京以外の地域に配慮しているように見せて、実際は地方分権にまったく逆行するだけだ。

 安倍政権の自治体軽視は根が深い。首相が突然、衆院選の公約に持ち出した幼児教育や保育の無償化では、財源の議論が後回しにされ、国と地方の負担をめぐって混乱が広がった。

 社会保障をはじめ、身近な行政サービスを担うのは自治体だ。地域の財政基盤をこの先も支えていくために、問題の先送りは許されない。

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