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 あまりにも対応が遅い。受験生を何だと思っているのか。

 順天堂、北里など5大学が、医学部入試で不公正な選考をしていたと相次いで認めた。

 東京医科大での不正入試の発覚を機に、文部科学省が調査を始めたのは8月。10月には同様のことをした大学に対し、自主的な公表を呼びかけていた。

 この間、過去に不合格になった受験生は、大学側の考えや対応が全く見えないまま、来春に向けての再度の受験勉強や、やむを得ず進学した別の大学での勉学を強いられた。

 現役生もたまったものではない。被害者を救済するため、その人数分を来春の定員枠から差し引く措置がとられれば、受験状況は様変わりする。一方で、一般入試の出願開始は迫り、志望校の変更は容易でない。

 若者たちがかかえる不安や葛藤は容易に想像できる。にもかかわらず発表をずるずる先延ばしした罪は、極めて重い。

 性別や浪人の年数によって、一律に不利に扱う。募集要項に明記しないまま同窓生の子らを優遇する。5大学が認めた事例の大半は、改めて検討するまでもなく、やってはいけないことだ。常識を欠き、社会の憤りも理解できない人々が医師を養成する。そら恐ろしい話だ。

 中でも驚かされたのは順大の説明だ。女子はコミュニケーション能力に富み面接評価が高くなるので、合格ラインを厳しく「補正」したという。学問の府が「能力が高いから評価を下げた」と意味不明な理屈をこね、差別の意図はないと言い募る。あきれるほかない。

 発端になった東京医科大でも「二次被害」は深刻だ。

 18年度入試で不当に落とされた女子5人を再び不合格としたのだ。順位を正しくつけ直したうえで、正規に合格した在校生分を定員から引くと、追加合格の枠は24人分しかない。入学希望者29人のうち下位5人はやはり不合格――との説明だ。

 定員を大幅に超えれば教育に支障が出るのはわかる。だが原因をつくったのは大学自身だ。受験生に落ち度はないのに、こんな対応が許されるのか。

 加えて柴山昌彦文科相は「彼女たちは仮に公正な試験が実施されても合格できなかった」などとツイートした。この5人よりも得点の低かった学生が現に在籍している理不尽さに目をやらず、被害者をおとしめていることに思いが及ばないらしい。

 大学に救済策を急がせ、入試全般について不正を防ぐ方法を省全体で練る。それが、担当閣僚として今なすべき務めだ。

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