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 公式の会見で、4度にわたって記者の質問を黙殺する。大臣としての説明責任を放棄した前代未聞の対応は、ひどすぎると言うほかない。

 河野太郎外相の11日の記者会見のことだ。

 日ロ平和条約交渉について「日本が第2次大戦の結果を認めることが第一歩だ」というロシアのラブロフ外相の発言への見解を尋ねた質問を無視し、「次の質問どうぞ」。

 日本の立場を表明しないのか、日本側が一方的に発言を抑えることが交渉に影響を与えないかという関連質問にも一切応じず、「次の質問どうぞ」。

 「なんで『次の質問どうぞ』と言うのか」という問いにも、「次の質問どうぞ」と、繰り返すだけだった。

 「お答えできない」ということすら言わない。質問などなかったかのように、次を促す。あまりにも不誠実な対応だ。

 河野氏に猛省を求める。

 安倍政権は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶという従来の政府方針を転換し、歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)の2島引き渡しを定めた1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を進めることを決めた。

 外交交渉である以上、公にできないことがあるのは当然だろう。しかし、国境の画定と安全保障がからむ重大な方針転換である。国民の理解を得るため、最大限の説明を尽くす姿勢をとるのは当然のことだ。

 河野氏は先の臨時国会でも、日ロ交渉に関する野党の質問に「交渉に悪影響を及ぼすようなことは控える」と、具体的な説明を避け続けた。

 交渉に前のめりな安倍首相のもと、河野氏はラブロフ氏と対峙(たいじ)する交渉責任者の任にある。自らの発言がロシア側を硬化させることを恐れてのことかもしれないが、議員や記者の向こうには国民がいる、そんな当たり前のことを忘れたか。

 質問に正面から答えず、論点をずらしたり、自説を滔々(とうとう)と述べたりするのは、安倍首相の常套(じょうとう)手段だ。説明責任をないがしろにする政権の姿勢は、今回の河野氏の質問無視で極まった観がある。

 河野氏は会見終了後、「誠実な対応」を求めた外務省記者クラブの申し入れに、「神妙に受け止めます」とのコメントを出した。本気で反省しているか、今後の言動を注視したい。

 民主主義国の外交は、国民の理解に支えられて初めて成り立つ。どれだけ誠実に国民に向き合えるか、河野氏の外相としての器が問われる。

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