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 時代や社会の変化にあわせて制度を見直し、公平でわかりやすい税のすがたを追求する。

 そんな基本原則に、政治は正面から向き合ったのか。

 2019年度の与党税制改正大綱は、消費税率10%への引き上げを控え、景気の落ち込みを防ぐ対策を何より優先した。

 増税後も車や家を買う人が減らないよう、自動車の税負担を軽くし、住宅ローン減税は期間を延ばして拡充した。

 燃費のよい車が増え、買い替えまでの期間は長くなり、カーシェアを使う人も多い。こうした環境変化への対応には大きく踏み込まず、今後の課題として「中長期的な視点に立って検討」と記すにとどめた。

 30年以上、拡充と延長を繰り返してきた住宅ローン減税はどうか。いつまでもやめられない経済対策になっていないか。

 そして今回の改正の「基本的考え方」には、「格差の固定化につながらないよう」制度の検討を進める、とある。

 ところが、ひとり親の税負担を軽くする「寡婦(寡夫)控除」の対象から、未婚のひとり親が外れている問題は、議論はしたのに見直さなかった。自民党内に根強い、伝統的な家族観を重視する声が壁になった。

 婚姻歴があるかどうかで変わる税負担の差は、来年度は児童扶養手当に上乗せして埋め合わせるという。しかし、税制上の格差は解消されない。

 公明党は「まだ課題がある」との問題意識だ。まずは税制で差ができないしくみにつくりかえたうえで、子どもの貧困への具体策を、ほかの視点からも詰めるべきではないか。

 置き去りにされた課題は、多い。老後のくらしと資産形成にかかわる年金税制は「働き方の違い等によって有利・不利が生じない公平な制度を構築する」としながら、具体論に入らなかった。富裕層の優遇につながっている、株取引などの利益にかかる金融所得課税の見直しも先送りした。配偶者控除の議論も止まっている。

 大綱には「所得再分配機能の回復」という長年の宿題は書き込んだが、答えを出す時期には触れていない。財政に余裕がないなか、受益と負担のバランスをどうとり、高齢化時代の社会保障制度を安定させるのか。その道筋も示さなかった。

 安倍首相は「全世代が安心できる社会保障改革」を3年で断行する、という。ならば、課題に向き合うべきだ。社会保障を支える税制が不十分で不公平なままでは、安心をもたらすことなどできない。

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