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 すべての国が共通ルールのもとで地球温暖化に立ち向かう。そんな新たな一歩を踏み出す準備が、なんとか整った。

 ポーランドで開かれていた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)で、温暖化対策の次期枠組み「パリ協定」の運用ルールが決まったのだ。

 先進国と途上国の対立で交渉は難航し、会期を1日延ばした末、深夜になって合意にこぎ着けた。2020年に現行の京都議定書が終わった後、間を置かずにパリ協定に移行できる。地球規模の温暖化対策が途切れずに続くのは朗報である。

 パリ協定は、産業革命以降の気温上昇を2度未満、できれば1・5度未満に抑えることをめざす。先進国だけに温室効果ガスの削減義務を課した京都議定書とは違い、すべての締約国に削減を促すのが大方針だ。

 だが、先進国より緩いルールを求める途上国の姿勢は強硬で、それにどう対応するのかが交渉の最大の焦点だった。

 途上国側には、排出量が世界最大の中国や3位のインドも入っている。ルールを先進国と共通にしなければ、温室効果ガス削減の実効性は担保できない。そんな訴えに、最終的には途上国側が歩み寄った。

 ここでパリ協定を壊してはならない、という認識を国際社会が共有した成果といえよう。

 その一方で、大きな課題も残った。削減目標の引き上げに踏み込めなかったのだ。

 各国が現在の目標を達成しても、今世紀末の温度上昇は3度になる。「1・5度未満」を達成するには、もっと思い切って削減しないといけない。

 しかし今回、目標を引き上げる機運は高まらず、各国に努力を促す明確な文言を合意に盛り込めなかった。閣僚級の対話でも、削減量の上積みを表明する国は一部にとどまった。

 各国の目標が不十分なままでは、パリ協定という「仏(ほとけ)」に「魂」が入らず、温暖化抑制という目標は達成できない。

 議論が低調だった原因の一端はリーダーの不在である。

 米国はオバマ前政権がパリ協定のとりまとめを主導したが、協定離脱を表明しているトランプ政権は今回、閣僚を派遣しなかった。これまで交渉を引っ張ってきた欧州も、マクロン仏大統領が国内のデモ対応に追われるなど存在感を示せなかった。

 影が薄かった日本は来年、G20サミットの議長国である。自らの削減目標を率先して引き上げ、国際社会の熱意が再び高まるよう、安倍首相は各国への働きかけを強めるべきだ。

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