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 全国81大学のうち「不適切な事案」が9校、「その可能性の高い事案」が1校――。文部科学省が医学部入試をめぐる調査の結果を公表した。東京医科大事件を機に広がった不公正疑惑は一区切りを迎えたが、なお多くの疑問や課題が残る。

 ひとつは、「可能性」を指摘された聖マリアンナ医科大が否認を貫き、第三者による検証も受け入れない姿勢を見せていることだ。社会への説明責任をどう考えているのか。また、不正があったとまではいえないが、同窓会の推薦者リストが入試担当者に渡るなど、疑惑を招きかねない行為が10校以上で見つかった。「公正」への意識を欠いた大学のいかに多いことか。

 入試が迫ったこの時期まで調査・公表がずれ込んだのも、受験生のことを思えば遅きに失したと言わざるを得ない。

 今回あらわになったのは、入試の公平・公正が簡単に骨抜きにされてしまう恐ろしさだ。

 女子差別をしていた東京医科大は「女性は出産や育児で職場を離れることが多く、周囲の負担になるから」と説明し、一部理解を示す声もあがった。本末転倒も甚だしい。女性が働き続けられる環境づくりにこそ、力を注ぐべきではないか。

 医学部入試ではほぼすべてで面接が行われる。医師としての適性を見るためだが、評価の裁量幅が大きく、恣意(しい)が紛れ込みやすい。面接を担当する教職員の男女比や年齢構成を見直す。特定の人物に合否の決定権が集中しない仕組みにする。そうした工夫が求められる。

 調査を踏まえ、文科省は入試の公正さに関する考え方を示した。性別はもちろん、年齢や浪人歴、出身地などの属性を、合否判断の尺度に持ち込まないことを基軸にすえている。

 司法試験のように受験回数を制限する試験もあるが、理由を説明し、オープンな議論を経て決めたものだ。ひそかに浪人生の評価を一律に切り下げる行為が許されないのは当然だ。

 地元出身者の優遇はどうか。たしかに地域に医師を確保するのは社会の要請だ。だがその場合も、募集要項に明記しなければ受験生を欺くことになる。

 考えるべきは医学部だけではない。「1点刻みの競争から多面的な評価へ」をうたう入試改革を控え、裁量の範囲か否かの線引きは一層難しくなる。大学間で協議し、納得度を高める手立てを全体で講じてほしい。

 志願者や合格者の男女比などの情報を幅広く公開して人々のチェックを受けるのも、不正を防ぐうえで効果があるだろう。

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