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 2019年度の政府予算案は、歳出総額が101兆4564億円と、当初予算で初めて100兆円を上回った。

 「経済再生と財政健全化を両立できる予算になった」

 菅官房長官と麻生財務相は同じ言葉で自賛したが、本当にそう言えるだろうか。

 歳出増の一因は、首相が意欲を示す政策に手厚く配分したことだ。最優先は、消費税率10%への引き上げに備えた景気対策だ。キャッシュレス決済でのポイント還元などに総額2兆280億円を計上し、増収分の約1兆3千億円を上回る。

 社会保障費は前年度より1兆円多い34兆587億円と、過去最大だ。高齢化による伸びに加え、選挙公約だった幼児教育と保育の無償化も始まる。防衛費も新たな中期防衛力整備計画を踏まえ、過去最大になる。

 実は18年度の歳出規模も、第2次補正予算案を加えると101兆3581億円になる。財政事情が厳しいなか、歳出は2年連続で101兆円を超える。

 この2次補正には、やはり首相が力を入れる国土強靱(きょうじん)化対策のほか、補正の定番である防衛費や農林水産業の強化策などが並んだ。19年度も同じように補正で手当てすれば、歳出はさらに増えていく。

 それでも財政健全化と両立できる、と政府が主張するのは、安倍政権発足から7年連続で、当初予算での国債発行額を減らしたからだ。

 しかし額面通りには受け取れない。18年度も2次補正で国債を追加発行する結果、年度を通しての発行額は17年度を上回る。これではいくら当初予算を取りつくろっても、財政はよくなることがない。

 国債発行減の裏付けとなる歳入は大丈夫だろうか。税収はバブル期を上回る62兆4950億円を見込むが、前提とする経済成長率は名目で2・4%と、民間などの予想より高めだ。預金保険機構から利益剰余金の8千億円を繰り入れるのも、一時的な異例の対応と言える。

 国債は昭和40年(1965年)に戦後初めて発行され、残高は平成元年(89年)に161兆円、19年度は897兆円に増える。戦後最長に並ぶ景気回復が続き、税収が増加基調にあっても、そう簡単に減らせない。歳出を抑えられないからだ。

 歳出全体のおよそ4分の1は、借金の返済にあてる国債費が占める。このままでは、安定した公的サービスを続けるのも難しくなる。

 その危機感を政権に感じられないところが、恐ろしい。

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