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 米国発の世界的な株安が止まらない。

 昨日の東京市場では、日経平均株価の値下がり幅が1000円を超え、昨年9月以来維持していた2万円台を割り込んだ。10月からの3カ月弱で5000円を超える下落である。為替相場も円高に振れており、株価の落ち着きどころが見えにくい展開だ。

 米国での波乱の要因はいくつかある。(1)そもそもの株価が過熱気味(2)長期にわたった景気回復の息切れ感(3)米国の保護主義や中国との対立が経済の足を引っ張ることへの懸念――。これらが相乗的に働き、投資家の売りを誘ってきた。

 (1)の視点からは、株価のある程度の下落は自然な調整ともいえる。(2)についても景気循環が起きること自体は、中長期的には不思議ではない。だが、(3)の保護主義はトランプ政権の政策的な判断の帰結だ。これが景気の下降局面入りを早める恐れが広がっている。

 こうした状況下にもかかわらず、トランプ政権はメキシコ国境の「壁」の建設をすすめようとし、その予算をめぐって議会が紛糾、政府機関の一部閉鎖を招いた。さらに、トランプ大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長への不満を公然と述べ、解任検討が報じられると、周辺が打ち消すといった迷走も続いている。

 先行きの不透明感をぬぐい、世界経済に動揺が広がるのを防ぐには、震源地の米国が政権運営を立て直すことが何より必要だ。保護主義を振り回すのもやめねばならない。日本政府はあらゆる機会を捉えて、トランプ政権に注意を促すべきだ。

 日本の株式市場は米国ほどの過熱感はなかった。足元の企業利益は空前の水準を保っており、これと比べれば株価は穏当な範囲にあったともいえる。

 問題は、今後の実体経済の動きだ。世界経済の拡大という追い風を受けて景気回復を続けてきただけに、外需が縮小に向かえば悪影響は避けがたい。

 さらに心配なのは、企業経営者の心理が悪化し、設備投資や賃上げへの意欲に水が差されることだ。過度に弱気になれば内需も腰折れし、悪循環に陥りかねない。必要な投資を実行し、これまで遅れてきた労働者への分配を着実に増やすことが引き続き求められている。

 景気が反転した場合に、日本がとりうるマクロ経済政策の余地は少ない。経済の持続的な好循環をつくりだす正念場に立たされていることを、政府も民間企業も、自覚する必要がある。

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