[PR]

 来年10月の消費税率10%への引き上げに向け、所得の低い人への影響や景気の変動を抑える政府の対策が、出そろった。

 安倍政権は2019年度、増税による増収分を上回る予算を投入し、増税しても18年度より経済が上向く姿を描く。

 しかし、この対策には疑問が尽きない。財源の裏付けはあるのか。公平でわかりやすく、使い勝手はよいか。費用対効果をどこまで考えたのか。

 まず、飲食料品と新聞の税率を8%に据え置く軽減税率は、毎年1兆1千億円かかる財源に問題を残したままだ。

 所得の低い人向けの対策の柱として3年前に決まり、政府・与党は「安定的な恒久財源の確保」を約束した。ところが、昨年までに決定済みの所得税とたばこ税の増税や、これまでの社会保障改革の削減効果の一部を充てることで、決着とした。

 新たに財源を見つけるのではなく、過去の努力の成果を付け替えただけだ。政府内には当初、株式の配当などにかかる金融所得課税を増税する案もあった。しかし株価への悪影響を気にする官邸の意向も踏まえ、議論にも入らなかった。

 しかも、2千億円分は当面、穴が開いたままだ。インボイス(適格請求書)により、これまで免税されていた事業者の一部が納税すると見込む分の増収をあてにするが、実際に始まるのは増税の4年後だ。つじつま合わせにもなっていない。

 さらに、20年6月までの増税後の9カ月間は事実上、「五つの税率」が共存する。政策が積み重なった結果だ。

 キャッシュレス決済でのポイント還元策は、中小の小売店で買えば5%相当分、コンビニなどのチェーン店なら2%分のポイントがつく。

 どの店で何を買うか、軽減税率の対象になる飲食料品かによって、ポイント分を差し引いた実質的な消費税率は10%、8%、6%、5%、3%の五つになる。日本チェーンストア協会などが「消費者に極めてわかりづらく、混乱が生じる」と懸念を表明したのは、もっともだ。

 ポイント還元はそもそも、クレジットカードなどを持たない人には恩恵がない。消費を押し上げる効果は未知数だ。

 景気の落ち込みだけはなんとしても避けたい安倍首相と、税率10%を実現したい財務省。与党と各役所の思惑も絡まり、国民を置き去りにするかのように対策は決まった。

 年明けの通常国会では、議論を尽くして問題点を洗い出し、見直していく必要がある。

こんなニュースも