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 にぎやかなパリのミュージックホールで、鏡を背に立つバーの女性。「印象派の父」といわれるマネが、亡くなる前年の50歳のとき、病に侵されながら描き上げた傑作「フォリー=ベルジェールのバー」だ。奥に映る店内からは、ざわめきが聞こえてくるよう。手前にはラベルまでリアルに描かれた酒瓶が並び、中央の女性の漆黒の衣装と、こちらを見つめる瞳がひときわ印象的だ。やや右にずれた不自然に見える鏡像とあいまって、多くの議論を呼んできた作品が、約20年ぶりに来日を果たす。

 コートールド美術館は、ロンドン・テムズ河畔の壮麗な建物「サマセット・ハウス」の一角にある。実業家サミュエル・コートールドが卓越した審美眼で集めた、世界屈指の印象派・ポスト印象派のコレクションで有名だ。中でもセザンヌとゴーギャンの収蔵数は英国でも最大。昨秋から改修工事に入ったため、優品約60点が貸し出されることとなった。

 同館はロンドン大学付属の研究機関の側面も持つ。最新の研究結果による絵画を読み解きにも注目だ。

 <9月10日~12月15日、東京都美術館。その後、愛知県美術館、神戸市立博物館へ巡回予定>

 ■コートールド美術館の由来

 コートールド家は17世紀にフランスから英国に移住。代々銀細工で生計をたてていたが、19世紀に絹織物業で頭角を現した。20世紀前半、レーヨン生産で巨万の富を築いたのが、サミュエル・コートールド(1876~1947)だ。1922年から印象派・ポスト印象派を中心に数多くの絵画を収集。ルノワールの「桟敷席」に詩を捧げたというエピソードもある。ロンドン大学に美術研究所が創立されることが決まると、コレクションの大半の寄贈を決定。これを核に32年にコートールド美術館と美術研究所が設立された。

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