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 もはや「不正」を通り越し、「腐敗」と呼ぶほかない。

 東京医科大の入試をめぐり、教員や政治家から頼まれた受験生に不正に加点していた疑いが新たに浮かんだ。見返りとして大学側に多額の寄付金や謝礼金が支払われた可能性があるという。大学が設けた第三者委員会の報告書で明らかになった。

 前理事長と前学長が起訴されていて第三者委も事情を聴けないなど、報告書は不正の実態に迫り切れていない。それでも、関係者の証言に加え、「入学を許されたら3千万円を用意するつもり」と書かれた前理事長あての手紙が見つかるなどした。看護学科の入試では、前理事長が「議員の依頼だ」と言って、特定の受験生を補欠合格させた実例も認定された。「優遇」された受験生の多くは、同窓生や医師の子だという。

 裏口入学が長年横行していたとすれば極めて深刻だ。入試の公正をこれ以上害する行為はない。文部科学省はすみやかに徹底した調査を行うべきだ。

 文科省は02年の通知で、入試にからんだ寄付金の収受を改めて禁じ、違反すれば補助金を交付しないと警告している。

 通知のきっかけになった帝京大医学部は、5年間にわたって合格発表前などに寄付を集めていたとして、その間に国から支給された補助金のうち約49億円を返還させられた。

 今回も、厳格な措置なくして幕引きはあり得ない。

 無論それだけでは済まない。合否を判断する権限を少数の幹部に集中させない。監査を強化する。そうした大学の内部統制システムを整備し、再発防止を図ることが急がれる。

 東京医科大の同窓会役員である自民党前衆院議員の赤枝恒雄氏は取材に、「10年ほど前から同窓生の子弟約20人を医学科に合格させるよう依頼していた」「同窓生の子が入学すれば寄付も入ると思った」と話している。寄付額の話はしていないとしているが、口利きを当然視する感覚には驚くばかりだ。

 東京医科大の入試では女性差別も行われていたが、それは、女性は出産や育児で辞めることが多く、大学病院の運営に支障が出るからとの理由だった。

 二つの不正に通じるのは、大学の経営上の都合を優先し、そのためならば入試の公正をおろそかにして省みない姿勢だ。

 予備校の調べでは、同大は志願者を減らす気配だという。おかしなことをすれば社会の批判を浴び、補助金も減り、結局は経営に響く。全ての大学・学部が肝に銘じるべき教訓である。

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