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 大雨や台風、地震などの災害時に、体力が弱ったお年寄りや障害がある人ら、自力では避難が難しい人をどう支えるか。

 半年前の西日本豪雨では、岡山県倉敷市真備町で亡くなった51人のうち、そうした避難行動要支援者が42人を占めた。自宅の2階に上がることもできずに命を落とす人が相次いだ。

 防災と福祉の連携が不可欠だ。かけ声に終わらせず、具体的に一歩を踏み出したい。

 災害対策基本法は、要支援者の名簿を整えるよう市区町村に義務づけ、一人ひとり個別の避難計画を作ることも求める。消防庁の調べでは、名簿は97%の自治体が作成済みだが、計画作りは進んでいない。

 自治体の間で注目されているのは、福祉部門の専門職を介した仕組み作りだ。

 高齢者や障害者には公的な介護保険制度や障害福祉制度を使っている人が少なくない。各種サービスの具体的な利用計画はケアマネジャーなど福祉専門職が立てている。ならばその延長で、災害時の移動と避難生活でどんな支援が必要か、いわば「災害時ケアプラン」も作ってもらおうという試みである。

 大分県別府市は、福祉団体の要望をきっかけに、今年度までの3年間、市内のモデル地区で段階的に実施している。

 初年度の16年度は避難訓練に障害者が参加し、電動車いすの不調など予想外の事態が起こることを確認。17年度は福祉専門職の協力で障害者数人の個別避難計画を作り、訓練で試した。今年度は避難所生活の改善点を洗い出している。

 取り組みは意見のぶつかり合いの連続だった。実際、開始直後の会合で住民の一人が「我々は忙しい。現実の問題としてどれだけ(支援)できるか」と発言し、拍手が起きた。

 しかし、話し合いを重ねるうちに空気が変わっていき、車いすに代えてリヤカーを使う避難など、さまざまな知恵が寄せられるようになったという。

 「加勢するとか助けてもらうとかではなく、一緒に避難していくのが大切ではないか」。そう語る住民もいる。事業の推進役を務める別府市防災危機管理課の村野淳子さんは、一連の試みを「防災に必要な地域のつなぎ直し」と表現する。

 兵庫県播磨町も今月、別府市と同様に、障害者の個別避難計画をふまえた避難訓練を実施した。関心を持つ自治体は少しずつ増えている。

 国も、役所ごとの縦割りを排し、試行を後押しする方策を検討すべき時だ。

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