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 国際観光旅客税(出国税)の徴収が、始まった。「観光先進国の実現」に向けた財源として、国税としては地価税以来、27年ぶりとなる新税だ。

 日本から出国する2歳以上の人は、1人1千円を負担する。2019年度の予算案では外国人を含め5千万人が出国するとみて、500億円の歳入を見込む。観光庁の予算は前年度の2・4倍の666億円に増えた。

 より多くの外国人に日本に来てもらう政策に、一定の投資は必要だろう。しかし本来は、他の事業を削って費用をまかなうのが筋だ。使い道が決められた特定財源だからと、「入り」に合わせて「出」がふくらんでは困る。新税がむだ遣いの温床とならぬよう、どう使われたか、本当に特定財源が必要か、問い続けなければならない。

 出国税の使途は、閣僚会議が決めた基本方針で、三つの分野に限られてはいる。

 「快適な旅行環境の整備」では、顔認証や携帯品の電子申告のゲート、自動チェックイン機を増やす。「的確な情報の発信」「観光資源の整備」は、個人の関心に沿った広告の展開や、いくつもの外国語で文化財や国立公園の解説をできるようにすることなどを掲げる。

 観光庁は、ゲートの整備はまずは主要空港からとして、全空港に導入する考えはないという。しかし財源があるのに、現場の要望を抑えられるのか。効果を見極めるのに時間がかかる事業もあるだろうが、観光資源の整備などはきちんと対象を絞り込まないと、使い道は際限なく広がってしまう。

 筋違いの事業に政府の予算が使われることは、残念ながら、めずらしくない。

 東日本大震災の復興予算は、被災地と直接かかわりのない林道整備や雇用対策にも流用された。復興と言えば何でもあり、の風潮になっていたためだ。

 出国税も、観光振興と称してほとんど関係のない事業に使われないか、心配は尽きない。

 政府は透明性を確保するために、予算を要求する前に有識者の意見を聞き、執行後は行政事業レビューでチェックするという。しかし実効性は心もとない。国会の予算審議で、優先順位や費用対効果を厳しく追及していくべきだ。

 国の財政事情は厳しい。高齢化で増えていく社会保障費や老朽インフラの補修などには、多くのお金がかかる。借金の返済からも逃れられない。

 効果が疑わしい事業に使われるようなら、出国税は即刻、見直すべきだ。

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