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 疑念を解消し、組織のガバナンスを確立する努力を怠ったツケというほかない。

 東京五輪・パラリンピックの招致活動に関して、フランス当局が贈賄容疑で、当時、招致委員会の理事長だった竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長への捜査を本格化させていることがわかった。

 あきれたのは会見した竹田氏の振る舞いである。疑惑を否定するメモを読み上げただけで質問に応じず、わずか7分間で席を立った。国内はもちろん、外国メディアも一斉に批判した。

 竹田氏は会見で、五輪準備に影響を与えかねない状況を招いたことを謝罪したが、説明責任を放棄した自身の行動が、事態をさらに悪化させていると認識しなければならない。

 疑惑は、招致委が13年にシンガポールのコンサルティング会社に支払った2億3千万円の一部が、開催地選びの権限をもつ国際オリンピック委員会の関係者らに流れたというものだ。

 16年に表面化した際、JOCは弁護士らでつくる調査チームを設け、「違法性はない」とする報告書をまとめた。

 だが、肝心のコンサル会社などへの聞き取りは行われず、金の流れも解明されなかった。朝日新聞の社説は「納得にはほど遠い」と指摘し、当のチームの座長も調査が十分とは言えないことを認めていた。

 竹田氏はこの報告書を根拠に潔白を訴えるだけで、説得力を著しく欠く。疑問や批判に耳を傾けず、2年以上放置してきた怠慢をどう考えているのか。

 たとえ刑事事件にならないとしても、別の問題が残る。

 竹田氏は会見で「私自身は契約に関し、いかなる意思決定プロセスにも関与していない」と釈明し、最後に書類に押印しただけだと述べた。組織の責任者としての自覚も資質もないことを、明らかにしたに等しい。

 JOCの予算約150億円のうち、70億円を国などの補助金が占める。公金を扱っているという意識があまりにも低い。

 98年長野冬季五輪の誘致でも買収疑惑が浮上し、調査の過程で帳簿類がひそかに焼却処分されていたことが判明した。竹田氏は01年にJOC会長になり、在任期間は17年をこえる。「周囲に任せていた」は言い訳にならないと知るべきだ。

 東京五輪をめぐっては、競技会場の見直しや経費の膨張など混乱が続いた。JOCと竹田氏の対応次第では、人々の間にさらに不信感が広がるだろう。どうやって事態の収拾を図るか。かなえの軽重が問われる。

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