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 安定するどころか、逆にますます暴走のおそれが高まっている。トランプ米政権がきょう、発足から2年を迎えた。

 任期折り返し点での米政治の混迷ぶりは深刻だ。偏狭な「米国第一」主義に走り、国際的な指導力を自ら損ねる振るまいは、いまや世界にとって最大の不安定要因である。

 大統領と野党との対立による米政府機関の一部閉鎖は異例の約1カ月に及ぶ。国境の壁建設に執着するあまり、米経済と市民生活への悪影響が長引くという不毛な光景が続いている。

 政府高官の更迭や退任はこの1年間も止まらなかった。国務長官、司法長官、大統領補佐官らが交代し、昨年末には国際協調派のマティス国防長官が大統領との不和を理由に去った。

 政権の軸が定まらない背景には、トランプ氏の独善と直情型の組織運営がある。三権分立を尊重せず、民主的な行政手続きの積み上げを嫌う専横的な行動が多くの部下を離反させた。

 内政の混乱は着実に、米外交の質を劣化させている。

 報道によると大統領は昨夏、北大西洋条約機構(NATO)から離脱する意向を漏らした。マティス長官らに説得されて思いとどまったが、昨年末には長官らの意向も踏まえずシリアからの米軍撤退を発表した。

 大統領の独断を止める者がいなくなり、政策の予見可能性が低下する意味は重い。北朝鮮の核問題であれ中東問題であれ、米国の対外政策がいつどのように変幻するか分からない。

 多国間の約束事を嫌う姿勢は相変わらずだが、同時に二国間の同盟関係にも歴代政権ほどの敬意を抱いていない。日欧との関係を支える基盤であるはずの自由、民主主義、人権重視といった価値観を、トランプ氏は軽視しているとしか思えない。

 軍事と経済によるハードパワーだけでなく、自由の理念に基づくソフトパワーが米国の指導力の源だった。だがトランプ外交に伴う理念の退潮は、米国の同盟のネットワークと多国間枠組みが支える世界の秩序を侵食していくおそれが強い。

 日本の外交関係者の間には「大統領の言葉と実際の政策は必ずしも直結しておらず、冷静に受け止める必要がある」という見方もある。だが、それは保証のない楽観ではないか。

 現実的には、米国は今後も日本にとって最も重要なパートナーであることに変わりはない。だからこそ大統領との個人的関係に頼る発想から脱却し、米国に国際秩序を守る価値を直言する外交を展開するべきだろう。

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