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 エアコンや冷蔵庫などの冷媒に使われる「代替フロン」のうち、使用量の多い業務用の回収率アップに国が本腰を入れる。強力な温室効果ガスである代替フロンの排出量は増え続けており、地球温暖化を防ぐために対策を急がねばならない。

 かつて冷媒に使われていた特定フロンはオゾン層を破壊することから、1989年発効のモントリオール議定書で生産が禁止された。代わりに使われ始めたのが代替フロンだ。

 代替フロンはオゾン層を壊さないが、二酸化炭素の数百倍から1万倍超の温室効果がある。その排出が続けば、二酸化炭素を削減しても温暖化防止の効果が相殺されてしまう。このため2016年に議定書が改正され、今月から代替フロンが規制の対象になった。日本は他の先進国とともに、36年までに生産・消費量の85%を削減する。

 問題は回収率の低さだ。近年はずっと30%台で、政府が温暖化対策計画でめざす「20年に50%、30年に70%」という目標の達成が危ぶまれている。

 エアコンや冷蔵庫を使う事業者、廃棄物の処理業者らがフロン回収の重要性を認識せず、未回収のまま機器を処分する例が後を絶たない。本来なら破壊されるべきフロンが大気中に放出されているのだ。フロン排出抑制法の罰則規定や行政の権限が弱く、規制の実効性が不十分だと指摘されている。

 先日、環境省と経済産業省の合同有識者会議が規制強化の対策案をまとめた。1回でも違反すれば罰金を科す。回収ずみの証明書がないと処理業者に機器を引き渡せなくする。都道府県が建物の解体現場に立ち入り検査できるようにする――。

 これらを反映した法律の改正案が、今月下旬に始まる通常国会に提出される。実効性のある対策の第一歩である。別の法律が定める家電や自動車の代替フロンとともに、着実に回収率を上げていかねばならない。

 ただし回収率アップは、いわば対症療法だ。「36年に85%削減」を実現するには、他の冷媒への切り替えが欠かせない。

 代役として注目されるのが、アンモニアや二酸化炭素、炭化水素、空気、水などの自然冷媒だ。コストが高いなどの難点もあるが、一部の小売店や飲料メーカーは自然冷媒の冷蔵庫や自動販売機を導入し始めている。政府は、こうした動きをしっかり支援してもらいたい。

 脱フロンの技術やシステムを海外に輸出し、地球規模で温暖化防止に貢献する。それもまた日本の役割である。

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