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 中国の昨年の経済成長率は6・6%だった。目標の「6・5%前後」は達成したが、前年より0・2ポイント悪化した。米国との通商紛争の影響で終盤に輸出が落ち込み、個人消費や投資の伸びも鈍った。

 昨年の成長率は四半期ごとに低下しており、今年の見通しも明るくはない。中国政府は大規模な減税や、インフラ投資のための地方債の発行を大幅に増やすといった積極財政をとり、金融政策も緩和の方向だという。減速が鮮明なだけに、ある程度の景気下支え策は欠かせないだろう。

 だからといって、改革を置き去りにしてはならない。

 中国は改革開放後、共産党の指導体制を守りながら、徐々に市場経済を採り入れてきた。およそ40年たち、民間企業が育ち、外資の参入も進んだが、いまなお大型の国有企業が幅をきかせる、特殊な「社会主義市場経済」だ。それゆえの問題点も少なくない。

 その代表が、過剰投資に陥りがちな経済構造だ。その時々の政権が統治体制の安定のために経済成長を守ろうと、国有銀行や国有企業を動員し、インフラや設備への投資を重ねてきた。むだな設備を抱えた国有企業の整理に取り組んでも、景気が悪化すると、投資優先に逆戻りした。

 その結果、鉄鋼などの産業で過剰な設備が積み上がり、金融機関も不良債権を抱える。中国経済が昨年減速した背景には、こうした経済構造を改めるため、銀行を通さないお金の融通の規制を強めるなどしたこともある。景気を支えるために改革の手を緩めるのでは、これまでの繰り返しだ。

 米国との貿易をめぐる対立では、トランプ米大統領が「政府から補助金を受けている企業の優遇」「外国企業への技術移転の強要」「知的財産権の侵害」を批判する。これらも、日本をはじめ世界各国が指摘する中国経済ならではの課題だ。

 習近平(シーチンピン)国家主席は昨年11月、G20首脳会議での講演で、「市場化改革を深化させ続け、知的財産権を守り、公平な競争を奨励し、自主的に輸入を増やす」と述べた。ならば言葉通りに、国際社会から理解を得られる形で実行に移すべきだ。

 高成長を続けてきた中国の国内総生産(GDP)は、いまや日本の2倍を大きく超える。世界経済を左右する存在だ。

 安定を保ちつつ、経済の体質転換を進める。容易な道ではないが、中国は責任の大きさを自覚し、取り組んでほしい。

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