[PR]

 米朝首脳会談を有意義に行う前提は、朝鮮半島の非核化と安定に向けた工程づくりである。事前協議での合意の積み上げこそが問われている。

 トランプ大統領と金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が2月下旬に会談すると、米政府が発表した。実現すれば、昨年6月の史上初の米朝首脳会談以来となる。

 金正恩氏の側近、金英哲(キムヨンチョル)・党副委員長が訪米してトランプ氏と会ったほか、北欧で米朝の外交実務者が協議した。首脳会談への地ならしが進んでいる。

 ただ、あと1カ月ほどでどこまで事前の詰めができるのか、不安が尽きない。トランプ政権はあらゆる手段を講じて、核・ミサイルの放棄を前進させる最善の準備を急ぐべきである。

 昨年の首脳会談は「朝鮮半島の永続的で安定的な平和体制」づくりという目標も共同声明で掲げた。しかしその後、具体的な進展はなく、実務者レベルの協議も停滞していた。

 それだけに米政府が2月下旬の開催だけを先行発表したのは、性急な印象を免れない。トランプ氏はかねて成果を強調するが、現状は北朝鮮の挑発行為が止まったにすぎない。

 北朝鮮が核放棄に向けていつどんな行動をとり、それに米国はどう対応するのか。その緻密(ちみつ)な段階的行動計画づくりを始動させるのは、再会談を開くための必須条件とするべきだ。

 北朝鮮は、制裁の解除を念頭に見返りを求めている。だが今の制裁は、国連安保理決議などを無視してきた代償であり、核もミサイルも残されたままだ。解除する環境はほど遠いことを確認しておきたい。

 その点で、中国とロシアの動きは懸念要因だ。両国は制裁の一部緩和に前向きな姿勢をみせており、時が経つにつれて対米牽制(けんせい)に転じつつある。

 それを見越して金正恩氏は年明け早々に中国を訪ねたほか、トランプ氏との会談前後にロシアを訪問する可能性がある。関係国の足並みの乱れは、北朝鮮を増長させるばかりだ。

 米朝協議の進展を見守りつつ、かつての6者協議の参加国は改めて非核化の目標を共有するべきだ。そのために韓国と日本も、中ロとの対話の機会を逃さず説得せねばならない。

 米朝間では、在韓米軍のあり方などが足早に論議される可能性がある。トランプ氏の独断が許される問題ではなく、関係国との緊密な調整が欠かせない。

 日本政府は、非核化の重要さとともに、譲ってはならぬ一線を、トランプ政権に強く念押ししておく必要がある。

こんなニュースも