[PR]

 統計の正確性に対する認識があまりに軽く、組織としてのガバナンスも欠如しており、言語道断の問題だ。しかし組織的な隠蔽(いんぺい)は認定できない――。

 「毎月勤労統計」の不正問題について、厚生労働省が設置した特別監察委員会がそんな調査報告を公表した。

 これをもとに、厚労省は元職員を含む関係者22人を減給や訓告にする処分を発表。厚労相も就任時からの給与4カ月分を自主返納するという。

 監察委の調査はわずか1週間足らず。「隠す意図はなかった」という関係者の言い分をそのまま並べた印象が拭えない。甘い事実認定と、それをもとにした処分で、早々に幕引きを図ることは許されない。

 この統計は従業員500人以上の大規模事業所はすべて調査するのがルールだが、厚労省は04年から、東京都分を抽出調査に勝手に変えていた。その理由について、監察委は企業から苦情を受ける自治体側への配慮だったと認定。適切な手続きを踏まずに調査方法を変更したことは不適切だったと指摘した。

 抽出調査に変えたうえ、データを本来の全数調査に近づける統計処理も長年怠っていた。このことが、雇用保険や労災保険で本来よりも給付が少なくなる事態を招いた。

 誤った調査手法は事務マニュアルに明記され、引き継がれていたが、15年に、上司の決裁を得ないまま表記が削除された。職員の中には、東京都の抽出調査が公表された調査方法と異なり、問題があると認識していた者もいるという。監察委は、あえて記載しなくても良いと考えたという担当課長の説明を追認したが、甘すぎないか。

 さらに問題なのが、18年1月のシステム改修に合わせて、東京都のデータについて、本来の全数調査に近づける統計処理をするようになった経緯だ。

 この時には局長級の上司に、総務省に届け出ている調査のやり方と齟齬(そご)が生じていることが報告され、上司はしかるべき手続きを踏んで修正するよう指示したという。しかし問題は放置され、公表もされなかった。なぜそうなったのか、監察委は切り込めていない。

 衆参の厚労委員会ではきょう、この問題について閉会中審査がある。来週からは通常国会も始まる。真相究明に向け、国会の果たすべき役割は重要だ。国会で突きつけられた疑問を踏まえ、監察委も引き続き事実の解明に努めるべきだ。

 真相の解明なくして、再発防止も組織の再生も出来ない。

こんなニュースも