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 1週間足らずで取りまとめた検証報告のほころびが、早くも露呈した。

 「毎月勤労統計」の不正調査について、厚生労働省が設置した特別監察委員会が検証に用いた同省職員への聞き取り調査の約半数が、実は「身内」の職員によるものだったことが、衆参の厚労委員会の閉会中審査で明らかになった。報告書の素案を作ったのも職員だった。

 身内同士の調査をもとに、監察委が「組織的な隠蔽(いんぺい)は認定できない」と結論づけて、どうして国民の理解が得られよう。

 「お手盛り調査だ」との批判を受け、厚労相は外部有識者が追加で聞き取り調査をすると表明した。だが、すでに真相究明の姿勢に疑問符がついた監察委の再検証では、信頼を回復するのは難しい。厚労省任せではなく、政権全体で取り組まねばならない。

 「消えた年金」として大問題になった年金記録問題の時には、総務省行政評価局のもとに検証委員会を設け、事実解明に4カ月以上をかけた。こうした事例も参考に、客観性のある調査を改めて行うべきだ。

 監察委の報告では、元職員を含むのべ69人に聞き取り調査をしたとされたが、実人数は37人だった。さらに外部有識者が実際に聞き取りをしたのは局長・課長級の20人だけだった。

 職員の電子メールなどは一切調査せず、大臣ら政務3役からは聞き取りすらしていない。

 これほど不十分な調査となったのは、長年にわたる不正について、わずか2回の会合で結論を出したからではないか。

 雇用保険や労災保険の過少給付を招いた重大な事態である。調査をしてわかったことは、速やかに公表するべきだ。

 しかし今回は、調査を尽くさぬまま結論を出し、それを根拠に関係者の処分を決めてしまった。なぜこれほど拙速に事を進めたのか、国会で徹底して解明してほしい。

 この問題では、与党も「言語道断だ」と批判を強めている。一方で、野党が求める参考人招致や予算委員会での集中審議には、難色を示している。本当に真相を究明しようというのであれば、野党とともに政府の姿勢をただすべきだ。

 今回の事態を受け、特に重要な国の56の基幹統計について政府が点検したところ、4割にあたる22の統計で計画通り公表されていないなどの問題が見つかった。政策立案の基礎となる統計を、いかにずさんに扱ってきたのか。政府全体の問題として、猛省しなければならない。

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