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 鉄道をはじめ、バスやタクシーも撤退したり、運行を減らしたりしている過疎地の交通をどう確保するか。

 車を運転するのが難しいお年寄りらの買い物や通院を助けようと、NPO法人などを主体として、住民による自家用車を使った有償運送が少しずつ広がっている。制度発足から12年が過ぎ、全国で百十余の地域で実施されている。

 ご近所さん頼みでは、乗せてもらう人は遠慮し、運ぶ側も負担が重くなりがちだ。長続きする仕組みを作り、住民同士のつながりも育みたい――。そんな狙いを込めた取り組みである。

 京都府の北端、日本海に面した京丹後市では、タクシーの営業所がない丹後町を起点に、NPOが2年半前から運行している。米国企業「ウーバー」の配車サービスを使ったことで注目され、視察が相次ぐ。

 乗車したい人はスマートフォンのアプリを操作して車を依頼し、登録されている18人の住民ドライバーのうち都合のつく人がマイカーで駆けつける。料金はタクシーの半分ほどだ。

 運転手の平均年齢は63歳で、事前に講習を受け、安全を徹底する。「小遣い程度」の報酬は受け取るが、余暇時間の有効活用が動機という人が多い。スマホを使えない人に代わって他の住民が配車を頼めるようにするなど、「ささえ合い交通」という事業名通りの趣だ。

 自家用車の活用では、「対象地域がどんどん広がらないか」と警戒するバス・タクシー業界との調整が難題だ。業界に配慮する形で、利用エリアや時間など運行に何らかの制限がある例が少なくないが、過疎化とともに運転手不足も深刻なだけに、地域と業界の関係は変わりつつあるようだ。

 中山間地の兵庫県養父(やぶ)市は昨年、NPOで事業を始めたが、予約電話を受けるのは地元のタクシー会社だ。「採算がとれない地域を住民ドライバーに担ってもらっている。様々なノウハウを提供したい」と協力的だ。

 タクシー業界独自の試みも見られる。

 長野県の諏訪地域では、70歳以上の人を対象に、定額で乗り放題の「定期券タクシー」を実験中だ。熊本県荒尾市では、いまは原則禁止の「相乗りタクシー」が試験的に走っている。安い料金メニューとして定着すれば、住民に歓迎されるだろう。

 元気な住民の力を生かしつつ、行政や民間がしっかりと役割を果たす。各地の実情に応じて連携し、補い合いながら、地域の足を守っていきたい。

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