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 法制審議会の部会が先日、会社法の改正要綱案をまとめた。来月にも法相に答申される。

 上場会社や、非上場でも一定規模以上の大会社に社外取締役を置くのを義務づけることが、主な柱の一つになっている。

 義務化は、5年前の改正時にも課題にあがったが見送られ、改めて検討された昨年2月の部会中間試案でも両案併記にとどまっていた。

 経済界の一部の反対を受けたものだが、取締役会内部にあって独立した立場で経営をチェックする存在は欠かせない。東京証券取引所上場企業の大部分は既に採用しており、さらに進んで今や「2人以上」が標準になっている。「義務」に踏み込んだ今回の要綱案は妥当で、むしろ遅すぎたと言うべきだ。

 一方で、相次ぐ企業不祥事は、社外取締役をただ置けばいいのではなく、有効に機能する態勢をどう築くかを、真剣に考える必要性を示している。

 ゴーン前会長の摘発で揺れる日産自動車の場合、17年度まで社外取締役は1人だけで、しかもゴーン氏が会長兼最高経営責任者の仏ルノー出身だった。また、複数の社外取締役がいても、不正会計を見抜けなかった東芝などの例もある。

 「生え抜き」とは異なる視点から直言できる人材を迎え入れる。十分な情報を提供し、適切に判断を下せる環境をつくる。そんな取り組みが欠かせない。

 とはいえ、経営監視の役割を果たせる知識と経験を備えた人材は、決して多くないのが現実だ。一人で複数の企業の社外役員を兼ねる例も多い。担い手をどう育てていくか。法制度とは別に、社会全体に課せられた大きな宿題といえよう。

 要綱案はまた、日産事件で注目された役員報酬についても、報酬の概要や基本的な考え方を取締役会で決め、株主らにより詳しく説明させるなど、透明化を図る方策を打ち出した。

 日産では権限がゴーン前会長に集中し、報酬の決定過程がブラックボックス化していた。近年、主要企業で導入が進む社外取締役を中心とする報酬委員会も設けられていなかった。

 東証は企業統治指針を昨年改め、この委員会の設置を明示的に求めるようになった。金融庁もこの3月期決算から、役員報酬の決定方法を有価証券報告書で開示するよう義務づけた。

 ルールに形式的に従うのではなく、「外部の目」を主体的に生かして企業価値の向上につなげようという、通底する趣旨をくみ取り、実践する。それがいま、各企業に問われている。

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