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 根本厚生労働相は国会答弁を訂正し、別の統計でも新たな問題が発覚する。「毎月勤労統計」の不正をめぐる混迷は日々深まるばかりだ。

 これ以上、厚労省任せにしていても、解決はおぼつかない。政権全体で問題に正面から向き合い、真相究明と再発防止に取り組むべきだ。

 検証のために厚労省が設置した特別監察委員会について、根本氏は24日、聞き取りをした37人の職員らのうち20人が外部有識者によるものだと答弁した。しかし29日になって、実際は12人だったと訂正した。

 聞き取りの実に7割近くを、「身内」の厚労省職員が行っていたことになる。しかも、中にはメールや電話によるものも含まれていた。

 こうした手法を追認した監察委にも、重い責任がある。独立性に疑問符がついた組織がこれ以上検証を続けても、国民の理解は得られまい。

 にもかかわらず根本氏は「事務方はお手伝いをしただけ。第三者の視点から、責任の所在を明らかにして頂いた」との説明を繰り返す。監察委での聞き取りのやり直し、検証報告の修正で済ませようというのだ。あまりに危機感が乏しい。

 新たに「賃金構造基本統計」でも問題が判明した。計画では調査員が事業所に調査票を配布・回収するとしていたのに、勝手に郵送調査に変更していたのだ。しかも、政府が56の基幹統計を一斉点検した際に、この違反は報告されなかった。一体、どうなっているのか。

 こんな対応が続くようでは、根本氏の大臣としての資質を、疑わざるをえない。

 厚労省の監察委の客観性が疑われていることに、麻生副総理兼財務相は記者会見で「それやるかねという感じはします」と、ひとごとのように述べた。財務省自身、公文書改ざんの検証が不十分だと批判を受けていることを忘れたのだろうか。

 役所で起きた不祥事を、その役所による甘い検証に委ね、真相はうやむやのまま済ませる。その繰り返しでは、行政への信頼は回復不能なまでに損なわれかねない。

 昨日の代表質問に対する答弁で、安倍首相は、根本厚労相に徹底した検証と再発防止の先頭に立ってほしいと繰り返した。

 先頭に立つべきは、首相自身ではないのか。

 厚労省任せではない、客観的な手法による徹底した事実の解明がなければ、信頼回復も再発防止もできない。そのことを忘れてはならない。

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