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 国会で安倍首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。

 立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表ともに、最も力を入れたのが厚生労働省の毎月勤労統計をめぐる不正問題だ。

 枝野氏は「国家としての基礎が揺らいでいる」と指摘し、玉木氏も賃金の伸びを高く見せる「賃金偽装」「アベノミクス偽装」ではないかと追及した。そして、根本厚労相の罷免(ひめん)要求で足並みをそろえた。

 昨年は、財務省による公文書改ざんなど、政府の不祥事が相次いで明るみに出た。立法府が十分にチェック機能を果たせたか、大島理森衆院議長が自省を求める異例の所感を発表した。

 政策決定の礎となる統計が長年にわたってずさんに扱われてきたという今回の問題は、まさに立法府による行政監視の真価が問われる事態である。厚労省の特別監察委員会による拙速な検証が第三者性を欠き、信頼を失っているだけに、真相解明と再発防止を政府に迫る国会の役割は極めて重い。

 そこには、与党も野党もないはずである。自民党の二階俊博幹事長は、質問の最後に統計不正を取り上げ、首相に問題解決への決意を尋ねたが、迫力不足というほかない。

 代表質問は、野党の党首にとっては、党の理念や政策の全体像を示す「所信表明」の機会でもある。

 枝野氏は冒頭、立憲民主党が目指す社会像について、「支え合い」と「多様性」をキーワードに掲げた。

 競争や自己責任を強調するのではなく、社会全体で困った人を支え合う仕組みを強化することで、一人ひとりの安心が社会や経済の活力につながると主張。また、多様性こそが、独創的な付加価値を生み、国際社会の中で日本が生きる最大の原動力になるとの考えを示した。

 一方の玉木氏は、国民民主党の理念として「共生」を掲げ、多様な価値観を受け入れて合意形成を図る「改革中道政党」と自らを位置づけた。

 重なる理念を持ちながら、両党はいま、参院の野党第1会派の座をめぐる多数派工作でいがみあい、参院選の1人区での候補者調整も遅れている。

 国会対応でも選挙協力でも、野党が力を合わせずして、巨大与党に対抗できないのは明らかだ。主導権争いや内輪もめを続けている余裕はない。与党によるチェックが期待できないなら、野党の協力こそが国会の機能回復への第一歩となる。

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