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 空気の乾燥する冬場は火災が多発する。まちの構造や気象条件によっては大火になる恐れもある。火の怖さをいま一度認識するとともに、大事に至らぬための取り組みを強化したい。

 この冬は太平洋側で雨が極端に少なく、連日のように乾燥注意報が出ている。東京、名古屋など、1月の雨量が平年の1割以下という地域も多い。

 総務省消防庁によると、火災発生数は近年4万件前後を推移している。17年の火災による死者数は約1500人で、40%が1~3月に亡くなった。

 最近も高齢者や子どもが犠牲になる火事が相次いでいる。近隣で気をつけあい、一刻も早い避難・通報・消火に努めることが犠牲者を出さない第一歩だ。

 気をつけたいのは市街地で起こる大規模火災である。

 戦後、消防体制が整備されて大火は減ったが、2年前の新潟県糸魚川市の火災では、フェーン現象に伴う南風の影響で147棟が焼損した。条件が重なると、予想をはるかに上回る範囲に火が広がることを示した。

 この火災では、消防の広域応援が十分でなく、消火用水も足りないという課題が浮かびあがった。全国の消防本部は、水の運搬に使える車の提供・利用について地元企業と協定を結ぶなど、平時から大火を見越して備える必要がある。

 国土交通省によると、古い木造建物が密集し、火災や地震の際に避難が難しい市街地は、全国に約3400ヘクタールある。5年間で4割ほど減ったというが、住民が多い大阪と東京で約2500ヘクタールを占める。首都直下地震や南海トラフ地震が想定される地域だ。対策を加速させなければならない。

 国は、老朽化が著しい空き家の解体費の一部を支援する空き家対策総合支援事業や、共同での建て替えに補助金を出す住宅市街地総合整備事業などの活用を自治体に促し、20年度までにゼロにする目標を掲げる。

 だが個人の財産権や居住権がからむ難しい課題だ。道路の拡幅工事や公園整備とあわせて建て替えを提案し、安全の確保を進めてきた地域もある。先行例を参考にしながら、火災に強い街を広げていきたい。

 一人ひとりがしっかり防火意識をもつことも大切だ。

 火災が頻発した江戸では、天水桶(てんすいおけ)には常に水をためておくといった決まりごとが、庶民の生活に根ざしていたという。地域の火災リスクを知り、もし起きてしまったらどんな手順で消火し、避難するか。ここでも日ごろの想定と準備が命を守る。

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