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 子どもを守るべき大人たちの判断ミスと連携不足が、またあらわになった。

 千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さんが自宅で亡くなり、父親が傷害容疑で逮捕された。深夜に起こして立たせる、怒声を浴びせるなどの虐待を日常的にしていた疑いがある。

 心愛さんは一昨年の11月、学校のアンケートに「ぼう力を受けています」「先生、どうにかできませんか」と書いていた。

 学校は市に報告し、心愛さんは児童相談所の一時保護を受けた。だが信じられないことに、学校は昨年1月、アンケートの内容を父親に伝え、市教育委員会はコピーまで渡した。取り返しのつかない誤りで、関係者の責任はきわめて重い。

 「告発」を知った親がさらにつらく当たり、虐待が悪化するのは容易に想像がつく。一方、必死の思いのSOSが裏切られたと知った子どもは、大人を信じられなくなるだろう。心愛さんは、その後のアンケートで虐待を訴えることはなかった。

 教委は会見で「威圧的な態度に恐怖を感じて要求に屈してしまった」と弁明した。ならばなおのこと、この父親はリスクが高いととらえるべきだった。大人でも怖くなる剣幕であれば、子どもには耐えがたい。その当たり前のことに、どうして考えが及ばなかったのか。

 こんなときこそ経験豊かな児相と連携すべきなのに、それも怠った。約1カ月後に開かれた会議の席上、配布資料に記載しただけだという。

 保護者が感情的になり、学校側だけでは対処できない例は少なからずある。弁護士らに相談したり、立ち会いを求めたりする仕組みを急ぎ整えるべきだ。

 不手際はさらに続く。

 心愛さんが一時保護と親族宅での生活を終えて親元に戻った昨年3月以降、児相は一度も家庭を訪問しなかった。「学校を通じて状況を把握できる」と過信し、けがの程度が軽かったことにも引きずられたようだ。

 そして学校も、今年に入って父親から「2月初めまで休ませる」と連絡を受けたのに、特段の対応をとらなかった。長期欠席は危険信号の一つとされる。ここで動いていれば、1月24日に心愛さんが遺体で見つかるのを防げたのではないか。そう思わざるを得ない。

 関係機関との連携やノウハウの共有の大切さは何度も指摘されてきた。それなのに、また同じ失敗を繰り返してしまった。今度こそ安全網を作り直さなければならない。小さな命を、もう一人も失わないように。

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