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 政策決定の基礎となる統計に対する信頼が大きく揺らいでいる。政権与党は口では再発防止を誓うが、前提となる厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題の解明には、及び腰と言わざるを得ない。これでは行政への信頼回復はおぼつかない。

 国会の予算委員会の論戦が始まった。最大の焦点は統計不正である。しかし、与党は、厚労省の大西康之・前政策統括官(局長級)ら、野党が求める関係者の参考人招致を拒否した。

 大西氏は昨年末に部下から不正調査の事実を知らされ、根本厚労相に報告した。厚労省の初動対応のカギを握る人物だ。

 しかし、別の統計におけるルール違反の報告漏れを理由に、先週末に根本氏に更迭された。これを受け、与党は現職の担当者でないことを理由に、国会招致に応じなかった。

 政策について責任をもって説明するなら現職である必要もあろうが、目的は過去の経緯をつまびらかにすることである。

 政権与党は森友問題でも同様の理由で、財務省の理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏の国会招致を拒み続けた。大西氏の更迭を「参考人逃れ」という野党の批判が当たらないというのなら、与党は堂々と応じるべきだ。

 厚労省の特別監察委員会がわずか1週間でまとめた報告は、その後、第三者性が疑われ、再検証を余儀なくされている。誰が検証を急がせたのか、この間の経緯も焦点だ。

 予算委には、監察委の委員長を務める樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長が出席したが、野党の質問に「独立行政法人の理事長として招致された。答弁は差し控えたい」と繰り返した。監察委の委員長として改めて証言を求める必要がある。

 きのう自民党からは小泉進次郎・厚労部会長が質問に立った。しかし、最も力を入れたのは、雇用保険などを過少給付された人への不足分の支払いの工程表を、根本氏と一つひとつ確認することだった。

 「危機管理上アウト」「隠蔽(いんぺい)体質の表れ」といった、厚労省批判もあったが、真相解明という点では突っ込み不足だ。

 小泉氏は、予算委への全閣僚出席の見直しなど、持論である国会改革の必要性も訴えた。しかし、不合理と考える慣行を改めるというのなら、ポストを離れた官僚は原則国会に呼ばないというルールから見直したらどうか。

 立憲民主党の長妻昭氏がきのう指摘したように、いま喫緊に求められる国会改革は、行政監視機能の強化にほかならない。

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