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 ネットの世界で国境を越えて利益をあげるIT企業に、どう課税するべきか。実態に見合った世界共通のルールづくりへ、各国は議論を急ぐべきだ。

 現在のルールでは、工場や事務所などの恒久的な拠点を置く国や地域で、法人税を納めるのが原則だ。ある国の消費者や企業を相手に、ネット上のビジネスで利益をあげていても、その国に拠点がなければ課税することは難しい。

 しかも大手IT企業には、利益を税率の低い国や地域に集めて、税負担を軽くする動きも目に付く。

 このため、大手IT企業の税負担は、メーカーのような従来型の企業と比べて軽すぎると、問題視されている。欧州連合(EU)の欧州委員会によると、法人税の実質の負担率は、多国籍のIT企業の平均は9%前後で、従来型企業の平均23・2%と開きがあった。

 こうした企業の課税逃れや行き過ぎた節税に対応が必要だという認識は、各国が共有している。2020年に長期的な解決策をまとめることでは合意しており、今年6月のG20首脳会議で、方向性を見いだすことをめざしている。

 ただ、具体策となると、溝は深い。

 欧州の主な国は、たとえば自国内に一定以上の契約者や売上高があるIT企業には、工場などを持つ企業と同様に課税できる案を主張する。巨大IT企業を抱える米国は、デジタル企業ねらい撃ちだと反発する。ブランド力のような無形資産に課税するよう、法人税のあり方を見直す案もある。

 国際合意が見通せないことに業を煮やしたのか、英国は20年4月に、フランスは19年中にも、デジタル事業の売り上げを対象に独自に課税を始めると発表した。スペインやオーストリアも追随の動きを見せる。

 課税の抜け穴を放置できないという問題意識はもっともだ。しかし、まずめざすべきは共通ルールの策定だろう。

 IT企業は、経済活動や利益の実態をつかみにくく、情報開示に積極的とも言い難い。

 米国や中国など巨大IT企業が立地する国も合意するルールをつくり、国際社会として情報開示を求め、各国が適正に課税できるようにするのが筋ではないか。各国がばらばらの税制を導入すれば、法人税との二重課税の心配もある。

 合意は簡単ではないが、具体的に議論を前進させなければならない。今年、G20の議長国である日本の役割は、大きい。

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