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 厚生労働省任せでは乗り切れないと、さすがに気づいたのだろう。国会審議で最大の焦点となっている統計不正の真相究明のため、政府は総務省に新たな検証チームを発足させた。

 だが、扱うのは総務省が基幹統計を一斉点検した際に厚労省が問題の報告を怠った「賃金構造基本統計」だけ。一連の問題の端緒である「毎月勤労統計」の検証は、引き続き厚労省の特別監察委員会が担うという。

 できるだけ大ごとにしたくない。そんな意識で、場当たり的に対応しているように見えてならない。検証態勢の根本的な見直しが必要だ。

 新たに設置した検証チームは、賃金統計が訪問調査というルールに反して郵送で行われた経緯など、主に行政運営上の問題を調べる。

 一方、勤労統計については、統計的な知見が必要で、すでに厚労省の特別監察委での検証も進んでいるため、新チームでは扱わないという。

 この説明に納得する人がどれだけいるだろう。問われているのは、勝手にルールを破り、ルール違反を認識しながらうその上塗りを続け、こっそり修正しようとした組織の体質である。二つの問題の根っこは同じだ。

 わずか1週間で「組織的隠蔽(いんぺい)は認定できない」との結論を出し、姿勢に疑問符がついた特別監察委で続けるのではなく、より独立性の高い組織で改めて検証をやり直すのが信頼回復への第一歩ではないか。

 総務省での検証にも課題はある。新チームは総務省の行政評価局を中心に、統計部門の経験のある職員らも加わるが、外部の有識者は入らない。「できるだけ早くという官邸のご指示」があり、機動的な立ち上げを優先したという。

 政府自体が真相究明に後ろ向きではないかと見られている時に、違う役所とはいえ、職員同士による検証にどこまで理解が得られるだろう。形ばかりの検証で幕引きを急いでいるのではないか、とみられないやり方を考えることが重要だ。

 07年の年金記録問題の時には、政権の最重要課題として総務省が事務局となり、外部有識者からなる検証委員会を設けた。今回もそうした組織を作って、しっかりと検証すべきだ。

 統計の不正や間違いは厚労省に限らない。政府の一斉点検では、56ある基幹統計の約4割で問題が見つかっている。

 各役所で統計を軽んじる風潮がないか。予算・人員の不足など構造的な問題はないか。省庁横断の包括的な検証が必要だ。

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