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 さまざまな事情で親が育てられない子と、子を育てたい夫婦とを結ぶ方策のひとつに「特別養子縁組」がある。この制度の見直しを進めてきた法制審議会の部会が先ごろ、民法などの改正要綱案をまとめた。

 原則として「6歳未満」となっている子の対象年齢を「15歳未満」に引き上げるとともに、手続きを改めて、引き受け(養親)側の負担を軽くする。より利用しやすい仕組みにしようという方向性は評価できる。

 特別養子になれば、普通の養子と違って、子と実親との間に法律上の関係はなくなり、戸籍にも養親の実子として記載される。新しい親子のつながりを安定したものにすることを目的に87年に創設された。

 しかし縁組が成立するのは、近年500~600件にとどまる。虐待や経済的事情から親元で暮らせない子は約4万5千人いるが、多くが児童養護施設などで集団生活を送っている。

 「6歳未満」という要件が壁になっているとの指摘は以前からあり、要綱案はこれに応えた形だ。ただし、成長した子が養親と良好な関係を築くのは、低年齢の子以上に難しい。対象年齢を引き上げるのであれば、それに見合った支援態勢の整備が欠かせない。

 たとえば、子と親の間を仲介する児童相談所の機能だ。

 いまは縁組が成立すれば、そこで関与をやめる。正式な親子にいつまでも介入するべきではないとの考えからだが、発想を変え、養親からの相談対応や研修の実施など、継続的なサポートに乗りだしてはどうか。もちろん、相応の人員と予算の手当てが欠かせない。

 民間の役割も重要だ。実親の妊娠中から話し合い、専門家のカウンセリングを受けさせるなど、児相とは違った立場や手法で架け橋になってきた団体は多い。一方で、養親に多額の金銭を不当に請求するなどの問題行動も、一部に見受けられた。

 今回の法改正に先立ち、昨年4月に養子縁組あっせん法が施行されている。行政は、同法が定める権限を踏まえて監督・指導を強めるとともに、適正に活動する団体に対して助成措置の拡大を検討すべきだ。

 最も大切なのは「子の福祉」であることは言うまでもない。縁組を認めるかどうかを判断する家庭裁判所の責任も、利用増に応じてさらに重くなろう。

 有効に機能すれば、子ども、生みの親、育ての親のすべてに幸せをもたらす制度だ。関係者はもちろん、社会全体が関心を寄せ、環境を整えていきたい。

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