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 福島第一原発の事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)に、初めて接触調査の手が届いた。東京電力が2号機に特殊な装置を差し込み、石ころのようなデブリの塊を数センチ持ち上げることに成功したのだ。

 少なくとも30~40年はかかる廃炉の長い道のりにおいて、デブリの取り出しは最大の難関である。今回、突破に向けて一筋の光が見えたといえよう。

 その一方で、表面がのっぺりしていて装置でつかめない大きな塊もあった。デブリはさまざまな状態で原子炉内に散乱しており、周辺機器と絡み合ったものもある。すべてを取り出すことがいかに難しいか、改めて思い知らされたことになる。

 一歩ずつ着実に準備を進めていかねばならない。

 燃料が溶け落ちた1~3号機の原子炉の周辺は、放射線量が高いため人間は近づくことができない。これまでロボットやカメラを遠隔操作し、原子炉内の様子を探ってきたが、見えたのはごく一部に限られる。

 国と東電の計画では、2019年度の後半に2号機から少量のデブリを取り出すことになっている。得られるデータは、事故の際に原子炉の中で何が起きたのかに迫る重要な物証でもある。東電は慎重かつ丹念に調べてほしい。

 本格的なデブリの取り出しは21年に始まる予定だ。

 東電は調査データをもとにデブリの性質をつかみ、関連企業とともに必要な装置と工法を開発する責任がある。準備が不十分なまま本格的な作業に入り、トラブルを起こすようなことはあってはならない。安全で確実に作業できる方策づくりに知恵を絞ってもらいたい。

 その際、従来の原子力産業の枠組みにとらわれるべきではない。一般の企業や研究機関の意見や提案にも耳を傾けることが、技術革新への近道ではないか。福島で培った経験とノウハウが、全国の原発の廃炉で役立つ場面もあろう。

 本格的なデブリの取り出しに際し、解決しておかねばならない問題がある。取り出したデブリをどう処分するのかだ。

 福島県は、デブリを含む廃棄物を最終的には県外に持ち出すよう求めている。しかし、具体的な議論はほとんど進んでいない。国と東電は問題から目をそらしてはならない。

 なにより大切なのは、地元の自治体や住民への十分な説明と対話に努めることだ。地元の理解なくして、廃炉をまっとうすることはできない。そのことを肝に銘じるべきである。

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