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 強引な国会運営で、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立して半年がすぎた。

 この間、政府がカジノ解禁への疑問や不安に応えてきたとは到底言えない。一方で、開設に向けた手続きや参入を狙った業者の活動は着々と進む。

 国民が置いてきぼりにされている状況を正さねばならない。政府はすみやかに説明の場を設け、この問題にどう向き合ったらいいか、人々が判断できる材料を提供するべきだ。

 内閣府は今月、法律の施行令案を発表した。だが、IR内に建設する国際会議場の規模や、「カジノの面積はIRの床面積の3%まで」「広告は外国人旅行客の入国審査区域に限る」など外形的・事務的な事項ばかりで、国会審議の焦点だった重要な課題への「回答」はない。

 たとえば依存症対策だ。

 政府は、本人や家族の申し出により、カジノ事業者が利用制限措置をとると説明してきた。しかしその具体的な方法は定まっていない。相談窓口を設けるというが、配置する専門家の資格や数も不明で、実効性のある態勢になるかは未知数だ。

 入場時の本人確認手続きも同様だ。マイナンバーカードで入場回数を管理し、暴力団関係者は排除する考えだが、どこまで可能か。そもそも同カードの普及率は1割ほどしかない。

 カジノの運営側が客に金を貸せる仕組みに対しては、客を借金漬けにする恐れがかねて指摘されている。政府は預託金をとることで対処すると言ってきた。その額も未定だ。

 これらは、夏に発足するカジノ管理委員会が決めるという。法律の作りがそうなっているとはいえ、肝心な点は後回しにして、その間に既成事実を積み上げるやり方は大いに疑問だ。

 政府はカジノの利点ばかり強調し、負の側面に言及するのを避けてきた。依存症の拡大、青少年への悪影響、反社会的勢力の進出といった懸念に、納得できる対策が打ちだせないのであれば、解禁は棚上げすべきだ。賭博の収益に頼る成長戦略自体を見直す必要がある。

 安倍首相は国会で「全国キャラバンを実施し、丁寧に説明する」と述べたが、これも実現していない。PRだけのキャラバンならいらない。不安や疑問に耳を傾け、しっかり議論する場にしなければならない。

 「地域活性化の起爆剤に」と意気込む自治体も目につく。だが外国には、カジノ誘致後に自殺、家庭崩壊、犯罪の増加に苦しむ都市が現実にある。改めて冷静な対応を求めたい。

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