一緒につくる、豊かに生きる 認知症フレンドリープロジェクト

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 朝日新聞社は創刊140周年記念事業の一環として、認知症になっても安心して暮らせる社会づくりに貢献する「認知症フレンドリープロジェクト」に取り組んでいます。豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業としての実践を紹介します。

 ◆「なかまぁる」(https://nakamaaru.asahi.com/別ウインドウで開きます

 「認知症当事者とともにつくる」をコンセプトに、ウェブメディア「なかまぁる」を昨秋立ち上げました。認知症の人と家族はもちろん、様々な立場で認知症を自分ごとととらえる人たちが集う「ネット上の居場所」です。この入り口からちょっと、人気コンテンツをのぞいてみませんか。(なかまぁる編集長・冨岡史穂)

 ■認知症カフェ検索 憩う・知る、自分に合う場みつけて

 「認知症カフェ」をご存じでしょうか。

 認知症の人が気兼ねなく過ごす憩いの場として、本人や家族らが仲間と出会って情報交換できる場として、注目されています。地域の特色を生かしたカフェがどんどん増えており、厚生労働省なども、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)のなかで、全市町村での開催を目標に掲げています。

 「なかまぁる」では、全国約4千軒にのぼるこの認知症カフェを検索できるサービスがあります。開催地域や曜日、時間帯、カフェ名などの条件をもとに調べることができます。

 この検索サービスに欠かせない認知症カフェの情報は、フリーカメラマンのコスガ聡一さんが2016年から、自治体ホームページなどをこつこつと調べて独自につくったリストがもとになりました。

 医師の撮影や病院取材を多く手がけるなかで認知症カフェの取り組みを初めて知ったコスガさんは、「衝撃を受けた」と振り返ります。

 「認知症の人が近い将来700万人に達するといわれ、医療、介護分野だけでなく社会全体が大きく変化を迫られているときに、各地域でこのような努力がもう始まっていることに驚きました」

 仕事の縁で知り得た情報を社会に還元したいと思いたち、認知症カフェを自ら訪れ、親しみやすく紹介する取材を始めました。

 取材した認知症カフェの情報は自ら運営するブログ「全国認知症カフェガイド on the WEB」などで発表しています。「なかまぁる」では、編集部が制作したパペット「コッシー」を相棒に、動画で認知症カフェを紹介する「コッシーのカフェ散歩」を連載しています。カフェに集う人の笑い声、食器の鳴る音などを聞きながら、カフェの特色を知り、自分に合ったカフェをみつけてほしいと語るコスガさん。

 「認知症が誰にとっても身近なテーマになるように、少しでもお手伝いができたらうれしい」

 ■連載漫画 父との日常、ほのぼのと

 「なかまぁる」の人気連載のひとつ、「認知症、はじめました。」は、レビー小体型認知症と診断された78歳の父親と家族の日常を、長女でイラストレーターのあさとひわさんが描くほのぼの漫画です。

 父親と74歳の母親は、埼玉県で2人暮らし。あさとさんは、電車で1時間半ほどの距離にひとり暮らし。ある日、「父さんがおかしい」と母親から電話があり、漫画は始まります。

 漫画のお父さんは、いつも捜し物をしています。頼みごとがあると、早朝に何度もあさとさんを起こします。かと思うと、「ひわは、この宇宙の中で完全なものって感じがする」とつぶやき、あさとさんを「なかなかの詩人だ」とうならせます。

 今回の特集に合わせて、あさとさんに、作品への思いを描き下ろしていただきました。

 

 ◆地域の見守り役、サポーター育成に力

 全国の朝日新聞販売所(ASA)では、認知症サポーターの育成に力を入れています。本社販売局の社員が養成講座の講師となり、すでに約5千人のサポーターが誕生。地域の見守り役を果たしています。

 4年前の春、千葉市美浜区のASA高洲高浜で月々の集金業務を担う及川美代子さん(65)は、70代後半の女性読者の玄関先で、煮物が焦げたようなにおいを感じました。女性に断ったうえで台所に行くと、鍋が焦げていたそうです。しかし、「ご本人はあまり重大なこととはとらえていないご様子でした」。

 実は及川さんはその2年ほど前から、この女性宅で違和感を抱いていました。玄関先には、動物や女の子の人形が毎月のように増えていました。その頃は話もしっかりできて新聞も読んでいるようでしたが、1年後に夫が亡くなると、外出している様子もうかがえなくなりました。

 「このままにしてはおけない」と思った及川さんは、女性の承諾を得て知人の民生委員にその場で連絡。女性は介護施設に入居することになったそうです。

 及川さんはその後、認知症サポーター養成講座を受けました。症状として思い当たるところが多かったと納得したそうです。「集金の現場はお年寄りが多く、不測の事態に遭遇することがあります。認知症を理解することで対応できることがあります。勉強を続けたいと思います」

 ■優良活動事例に

 認知症サポーターとは、自治体や職場で90分程度の講座を受ければ誰でもなれる身近な支援者のこと。朝日新聞社は全社をあげた取り組みが評価され、今月、サポーター制度の事務局を担う全国キャラバン・メイト連絡協議会から「認知症サポーター優良活動事例」に選ばれました。(Reライフプロジェクト・坂田一裕)

 ◆理解深める、VRで疑似体験

 朝日新聞社は、認知症の人にはどのように世界が見えているのかを疑似体験できる、仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)の映像を制作し、企業や学校向けに体験講座を始めています。認知症の人がどんなことに困っているのかを知り、理解を深めるための取り組みです。

 作成したVR映像は、距離感がつかめず「階段を下りるのがこわい」という状況▽レビー小体型認知症に特徴的に現れる「幻視」▽認知機能が低下した場合の「自動車の運転」――の3種類。専用ゴーグルで臨場感ある映像が見られます。

 昨年9月に本社が開催したイベントで初めて一般公開し、約70人が体験。「母がみている幻視を否定すべきでないと思った」「距離感がつかめない恐怖がわかった」などと話していました。来年度から企業・学校向けに「認知症VR」を活用した体験型講座の事業化を目指しています。

 また、朝日新聞厚生文化事業団は、小学校高学年向けに、認知症VRを体験できる「授業」を4月から大阪市で始めます。

 問い合わせは、メール(dementia-pj@asahi.comメールする)まで。(坂田一裕)

 ◆多分野の企業が参加し勉強会

 認知症になっても安心して暮らせる社会を実現するには医療、福祉、介護の世界だけでなく、生活に関わるあらゆる企業の理解と協力が不可欠です。そんな思いから、朝日新聞社は、各企業の皆さまと「認知症フレンドリー企業勉強会」を始めています。

 昨年は、有識者らを招いて2回開催しました。民間企業や業界は何ができるのか。そして、取り組みが持続、発展していくためには何が必要か。ともに模索していきます。(総合プロデュース室・神出亮)

 ◆5月に大阪で国際シンポジウム

 朝日新聞厚生文化事業団は5月18日午後2時から、大阪市北区のコングレコンベンションセンターで、認知症の人にやさしい地域づくりを進める国内外の関係者を招きシンポジウムを開催します。海外からは英国やベルギーインドネシア、国内からは福岡県大牟田市などから事例発表がある予定。参加費1千円。問い合わせは同事業団(06・6201・8008)へ。(厚生文化事業団・山本雅彦)

 ◇認知症関連の記事は、朝日新聞デジタル「認知症とともに」(http://t.asahi.com/um0e別ウインドウで開きます)でご覧いただけます。

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