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 とても理解できない動きだ。日本オリンピック委員会(JOC)が、在任10期17年を超す竹田恒和会長(71)の「続投」を視野に、役員の定年延長を検討している。いまの体制のまま東京五輪を迎えたいという思惑が、背景にあるようだ。

 だが竹田氏には、その東京五輪の招致をめぐる買収疑惑が持ちあがっている。フランスの当局が本格捜査に乗りだしたことが明らかになった先月、記者会見を開いたものの自らの潔白を言い立てただけで、国内外の記者の質問を一切受け付けないまま7分間で席を立った。

 国民、そして五輪に思いを寄せる世界の人々にしっかり向き合い、説明責任を果たそうという姿勢はみじんもなく、失望と不信だけが残った。

 そんな人物を、ルールを変更してまで、なぜトップに据え続けなければならないのか。この先、ホスト国を代表するメンバーの一人として会見やインタビューの機会は増えていく。ノーコメントで乗り切るつもりなら考え違いも甚だしい。

 あの会見を容認し、その後も竹田氏に反省を迫るどころか、任期延長を画策するJOCとはいったい何なのだろう。

 折しも、別のJOC幹部による耳を疑う発言も飛び出した。副会長を務める橋本聖子・自民党参院議員会長が昨年続発した不祥事に触れ、「スポーツ界はそんなことで悩んでいるべきではない。ガバナンス、コンプライアンスで悩んでいる場合じゃない」と述べたのだ。後で釈明したが、この組織の本音がかいま見えた思いがする。

 アメリカンフットボール、レスリング、ボクシング、体操など一連の不祥事にかかわった人の多くは、JOCの活動も長く担ってきた。危機感を持ち、大いに「悩んで」しかるべき事態ではないか。

 昨年来の問題を受け、スポーツ界をどう改革すべきか、スポーツ庁を中心に議論が進む。そこでは、特定の人物に権限が集中したことがゆがんだ組織運営や癒着を生んだとして、競技団体の役員の多選制限や定年制の導入が検討されている。統括するJOCをどうチェックすべきかも重要なテーマだ。

 それなのに、当のJOCが逆を行こうとしている。ここは立ち止まって考え直すべきだ。

 JOCは、政治に翻弄(ほんろう)されたモスクワ五輪ボイコットを教訓に、「自立」をめざしてスタートした。だが「自律」のない組織に人々の理解と支持はなく、自立もおぼつかない。原点を思い起こしてもらいたい。

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