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 いじめで人を死に追いやったり傷つけたりすれば、子どもでも厳しく責任を問われうる。社会にそのことを認識させる判決だ。再発防止に生かしたい。

 大津市立中の男子生徒が11年に自殺した事件で、大津地裁はいじめが原因と認め、加害側の元同級生2人に計3700万円の賠償を命じた。市はすでに責任を認め、亡くなった生徒の両親と和解している。

 この事件では、いじめのむごさに加え、学校や教育委員会の対応の鈍さや保身に走った振る舞いが批判を浴び、いじめ防止法の制定につながった。

 法は二つの柱を掲げる。

 教職員らの情報共有を徹底し、学校が組織として対処する。自殺や長期の不登校などの「重大事態」が起きたら、すみやかに調査に着手し、事実関係を解明する――。どちらも大津の事件の教訓そのものだ。

 だが、実践はなお遠い。

 現場は実態の把握に熱心になり、被害の認知件数も増えた。しかし、公表されている各地の調査報告書を見ると、判で押したように「情報共有の欠如」が指摘され、真相究明に後ろ向きな学校や教委の姿勢がしばしば批判の対象になっている。

 深刻なのは、防止法の内容が依然、周知徹底されていないことだ。条文は、重大事態の際はいじめの「疑い」の段階で調査を始めるよう明記している。なのに「確証がないから」と動かず、保護者らに不信感をもたれるケースが相次ぐ。

 超党派の国会議員は防止法の改正を検討している。中でも重要と考えられているのは、「教員にいじめ関連の法律や指針などを読み込み、精通する義務を課すこと」だという。

 教員の多忙の解消が社会の課題になるなか、さらに荷を増やすのかとの声もあるかもしれない。だがそれにしても、学校側の認識の甘さ、危機感の薄さは現実が示している。先生たちは重く受け止めてほしい。

 大津の事件では、生徒へのアンケートが黒塗りだらけで遺族に開示されるなど、当局の隠蔽(いんぺい)体質も批判を招いた。この払拭(ふっしょく)も道半ばだ。昨年も神戸市教委が中学生の自殺をめぐり、生徒からの聞き取りメモを隠したことが発覚している。

 今回の判決は「加害側は自殺を予見できた」と述べて賠償を命じた。第三者委の調査や警察の捜査で自殺に至る経緯がほぼ解き明かされたことが、異例の判断につながり、遺族も受け入れた。はじめから学校・教委が解明と説明に力を尽くしていれば、と思わずにいられない。

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