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 安倍政権がごり押しする「唯一の解決策」の破綻(はたん)は、もはや明らかだ。

 沖縄県の米軍普天間飛行場の辺野古移設計画である。「マヨネーズ並み」といわれる軟弱地盤の対策について、防衛省が検討中の改良工事の詳細が、県の文書で判明した。

 まだ埋め立てが始まっていない大浦湾側の6割にあたる65・4ヘクタールに、砂の杭7万6699本を打ち込む。使う砂の量は東京ドームの約5・25個分。県によれば、県内の砂利採取量の数年分に匹敵するという。

 最も深い所は、水深30メートルの海底の下に、60メートルの軟弱地盤の層があり、計90メートルに達する。菅官房長官は「一般的で施工実績が豊富な工法で対応は可能」というが、岩屋防衛相は国会で日本企業の施工実績を水面下70メートルまでと紹介した。前例のない難工事になるのではないか。

 貴重なサンゴ類など環境への影響を考えれば、再度の環境影響評価も必要だろう。将来の滑走路の地盤沈下の可能性や、地震、高潮対策も考えなければならない。

 驚くのは、政府が改良工事にかかる工期や費用の見通しを一切、示していないことだ。安倍首相は1月末の国会で「現時点で確たることを申し上げるのは困難」と述べた。無責任きわまりない。工期や費用の見通しのない公共工事を進めることなど許されるはずがない。

 地盤改良工事には設計計画の変更が必要だが、玉城デニー知事は申請を認めない意向だ。繰り返し示された「辺野古ノー」の民意に反し、移設を進めることは政治的にも無理だろう。

 軟弱地盤対策で工事が長期化すれば、その間、普天間は動かず、基地の固定化につながる。普天間の一刻も早い危険性除去にも反しており、政府が掲げる大義名分は通らない。

 14年2月に首相が県に約束した「普天間の5年以内の運用停止」は今月、期限を迎えた。当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が埋め立て承認にあたって政府に求めたものだが、空手形に終わった。

 この間、政府は軟弱地盤の存在を知りながら公にせず、浅瀬での土砂投入を先行して、既成事実を積み重ねてきた。あす行われる沖縄の県民投票の結果さえ無視する構えだ。

 だが、現行計画の行き詰まりが明らかになった今、政府に求められるのは、工事を停止し、米国政府と代替案を探る協議を始めることだ。強引な手法が反発を招き、さらに問題をこじらせる。そんな悪循環から抜け出すべき時である。

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