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 最初の関門突破だ。探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの着陸に成功した。試料採取のための弾丸を発射したことを示すデータも届いた。

 地球に戻る予定の20年末までに、あと2回の着陸と人工クレーターの生成という前例のない試みが控える。43歳の若さでチームを率いる津田雄一プロジェクトマネージャが記者会見で語った「問題点が見つかるたびにつぶしてきた」との言葉から、準備に裏打ちされた自信と気概が伝わってくる。

 停滞気味の日本の科学界にあって、光明を見る思いだ。

 数々のトラブルに直面しながらも、工夫を凝らして地球に戻ってきた初代はやぶさは、多くの関心を呼び起こした。持ち帰った試料はわずかだったが、貴重な分析結果も得られた。

 その成果は人類共有の財産となり、日本の科学技術力を世界に示す役割も果たした。

 小惑星から試料を回収する技術とノウハウを持つのは、いまのところ日本だけだ。世界をリードできる分野であり、宇宙を舞台とする国際的なプロジェクトに参加する際に、他国と交渉するカードにもなる。

 ただし、足元は心もとない。

 政府の宇宙関連予算はほぼ横ばいだが、安全保障や産業利用のための計画に重点的に割り振られ、科学分野は低迷している。15年度は200億円あった予算は、今年度110億円にまで落ち込んだ。

 今後、米トランプ政権が掲げる有人月探査計画に、日本がどのように参加するのかの議論も本格化する。場合によっては巨額の費用負担が生じかねず、結果として科学探査にしわ寄せが及ぶ可能性もある。それは賢明な選択とは言えまい。

 実は、はやぶさ2にも当初はなかなか予算がつかなかった。「初代」が奇跡的な帰還を果たさなければそのまま塩漬けとなり、今回の快挙も実現しなかったかもしれない。このような綱渡り状態が続けば、技術の成熟と継承はおぼつかない。

 政府は、月や火星の衛星、小天体への探査計画を持つ。構想を打ち上げるだけでなく、予算や人員の養成などで確実に下支えしていく必要がある。

 そのためには国民の理解と支持が不可欠だ。はやぶさ2が持ち帰るであろう試料の分析を通じて、太陽系の成り立ちや生命の起源の解明が期待される。

 関係者は、この事業の目的や価値、そして宇宙をめざす根源的な意義を、社会にわかりやすく伝えることに、引き続き取り組んでもらいたい。

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