[PR]

 米同時多発テロを受けて、米軍がアフガニスタンを攻撃してから17年以上がたつ。だが戦乱は収まらず、国連によれば過去10年で3万2千人を超す市民が犠牲になった。

 混迷が続くなか、米トランプ政権は米軍の撤退を探る動きに出ている。もし重荷を振り払うかのように一方的に立ち去るならば、無責任に過ぎる。長年の流血に終止符を打ち、和平を築く責務を忘れてはならない。

 中東からの米軍の撤退はトランプ氏の選挙公約だった。昨年は唐突にシリアからの全面撤退を表明し、その後は米国内からの反対を受けて修正した。

 トランプ氏が強調するのは、常に米国第一の考え方だ。アフガニスタンについても、米軍駐留の目的を終えたか否かではなく、国内支持層の歓心をかう判断に走る不安がぬぐえない。

 ただ、米軍関与の最終的な出口を探り、そのために整えるべき環境を考えることは必要だろう。その条件は、アフガン政府の自立と、反政府勢力タリバーンとの和解である。

 その点、米政府が昨年夏からタリバーンとの直接交渉に踏み切ったのは前進といえる。今週も協議を重ねており、行方が注目されている。

 だが、肝心のアフガン政府は蚊帳の外だ。タリバーンが、アフガン政府を米国の操り人形だと批判し対話を拒んでいる。米国はまずタリバーンを説得し、アフガン国民自身による和平づくりへの道を開くべきだ。

 4年ほど前に米軍などから権限を移譲されたアフガン治安部隊の力不足は否めない。実効支配しているのは国土の約半分。米軍1万4千人の駐留があって何とか支えられているのが現状だ。戦火がやむまでにはさらに曲折も覚悟せねばなるまい。

 和解のためには、タリバーン側への一定の譲歩もありえる。だが、タリバーンはかつて女性の教育を認めないなど、極端な政策をとった。活動の資金源として麻薬生産も続けている。詰めるべき課題は多い。

 米国に呼応するように、ロシアも外交を活発化させている。しかし今月モスクワでの会合にアフガン政府は参加せず、米国への牽制(けんせい)の色が濃かった。

 かつてアフガニスタンに拠点を置いた国際テロ組織アルカイダは水面下で生き延び、過激派組織「イスラム国」(IS)も新たな活動を模索している。

 この国が再びテロ組織の巣窟と化せば、国際社会全体への脅威が増す。米ロは主導権争いではなく、アフガンの将来を見すえて協調を探るべきだ。

こんなニュースも