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 自らが選んだ決断を、どうやって実現するか決められない。英国の政治の迷走に世界が不安を募らせ、いよいよ「最悪」への備えが目立ち始めた。

 英国が欧州連合(EU)から抜ける期日は、3月29日。離脱の仕方をめぐる合意がまとまらないなかで、各国の企業が英国を去る動きがでている。

 日本企業では、パナソニックやソニーが欧州の拠点をオランダに移す。日産自動車も、一部モデルの生産を日本へ切り替えるという。各国の金融機関も、ドイツやオランダに新たな拠点を開いたり拡張したりする。

 見切りをつけつつあるのは、外国の企業だけではない。英国内の政治家たちの間でも、旧来型の政党政治から離反する動きがでてきた。

 先週、下院で計11人の議員が与野党から相次いで離党した。党利党略に明け暮れる二大政党に業を煮やし、新たな中道をめざすという。

 全員、欧州の枠組みに残りたいと考える議員たちだ。最初に離党した議員は「政治はもう壊れている」と嘆いた。与党を離れた議員は、EUからの無秩序な離脱をおそれている。

 こんな状況に陥ってやっと、重い腰を上げたのか。メイ英首相が初めて、離脱期日の延期を容認する姿勢を示した。

 議会が拒む今の離脱案にこだわるのか、国際経済を巻き込む無秩序な離脱を選ぶのか――。絶望的にみえた二択に「延期」の選択肢が加わったのは当面の救いだ。議会は3月半ばの採決で確実に延期を選ぶべきだ。

 延期についてEUの各国も一致して認めてもらいたい。新たに生まれる猶予は、各国が冷静に未来を考える期間となりえるだろう。英国は単なる時間稼ぎにしてはならない。

 ブレグジット(BREXIT)と呼ばれる問題が示した現実は数々ある。過去の国家像にこだわって単独行動に走っても、国境を超えた経済活動の結びつきは簡単に変えられない。これからを生きる若い世代ほど国際協調の価値を認めている。

 メイ氏が姿勢を変えたのは、与党保守党の分裂を恐れてのことかもしれない。その懸念は野党の労働党も同じだろう。いまでは解散総選挙を求める態度を改め、「2度目の国民投票」を求める方針に変わった。

 延期は6月末まで、とメイ氏は言うが、決めてかかるべきではない。再度の国民投票を含め、国民が納得する道は何か。欧州と世界にとって最善の策は何か。英国政界は全員で立ち止まり考えてほしい。

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