[PR]

 事実に反すると知りながら職員はうそをついていた。しかし意図的に隠そうとしたとまでは言えない――。毎月勤労統計の不正調査問題を検証した厚生労働省の特別監察委員会が、そんな追加報告書を発表した。

 こんな言い訳が通るのであれば、本人の主観次第で隠蔽(いんぺい)はすべて否定されてしまう。とても納得できない。

 問題の発端は、本来は全数調査の大規模事業所のうち、東京都分を04年から勝手に抽出調査に変えたことだ。抽出であっても、データを全数調査に近づける統計処理をしていれば、雇用保険などの過少給付は生じなかったが、それを怠っていた。

 これまでの検証で、東京都分が全数調査でないと認識している職員が複数いたことはわかっているが、必要な統計処理がなされていないことに誰がいつ気付いたのか、あいまいだった。

 追加報告書はこの点について、08年に担当係長が気付いたが課内の誰にも伝えず放置したと認定。15年に担当課長も認識したが、必要な対応を取らないまま後任に引き継いだとした。

 この後任が、システム改修に合わせて東京都分の統計処理を改めるよう指示を出した。これが昨年1月の「こっそり修正」になった。

 16年には、中規模事業所の調査方法の変更を申請する際に、大規模事業所の全数調査について「原則」「基本的に」の言葉をつけようとした。しかし総務省の担当者から「変更予定があるのか」と問われ、「これまでの不適切な取り扱いの説明に窮する」と考えて断念した、と監察委に述べたという。

 これこそ、隠蔽行為そのものではないか。データに問題が生じると知りながら放置した行為は、統計法で罰則の対象となるデータの改ざんなどに相当する可能性もある。厚労省は告発すべきであるし、甘い事実認定に基づいた1月の処分はやり直すべきだ。

 この間、国会では調査手法を変更する過程で首相官邸が関与した問題も浮上した。監察委は変更について「統計学的にも十分な合理性が認められる」と結論づけたが、変更の過程については全く検証していない。理解に苦しむ。

 報告書は、厚労省の統計の重要性に対する認識の甘さ、職務怠慢を指摘し、「猛省を促す」とした。しかし真相と責任の所在があいまいなままでは、信頼回復も再発防止もできない。

 役所から独立した第三者委員会を設け、検証をやり直すべきだ。

こんなニュースも