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 外国人労働者の受け入れを4月から広げるのを機に、国や自治体が、日本語教育の充実など対策を急いでいる。国内で生まれた子を含め外国にルーツを持つ児童・生徒向け事業の予算を計上した市町村も目につく。

 その一方で見過ごせないのが、義務教育の就学年齢にあたるのに日本の小中学校にも外国人学校にも通っていない、不就学の子の問題だ。実態は不明だが、文部科学省が各種統計から推計すると、約1万8千人にのぼるおそれがあるという。

 10年前、外国人の児童・生徒の受け入れに取り組む29市で実施された調査によると、不就学の理由は「お金がない」が最も多く、「日本語がわからない」が続いた。子どもの日中の過ごし方では、約6割が「家にいて何もしていない」と回答した。

 日本も批准している国際人権規約は、すべての人に教育に関する権利を認め、初等教育は「義務的なものとし、すべての者に対して無償とする」とうたう。現状の放置は許されない。

 以前から問題に取り組んできた自治体の例が参考になる。

 南米出身の日系人など約2万4千人の外国人が暮らす浜松市は11年度、「不就学ゼロ」を掲げた。同じ日系人ら母国語がわかるスタッフをまじえて不就学の心配があるすべての家庭を訪れ、どこにも通学させていない場合はその理由を探った。

 就学手続きの手助けに加え、親には多言語対応のハローワークを紹介するなど生活全般で支援を続け、2年で目標を達成した。その後も転出入の確認や定期訪問を重ね、「ゼロ」をほぼ維持しているという。

 岐阜県可児(かに)市の「ばら教室KANI」は、学校生活への橋渡しとして市が独自に設けた。

 35人の定員は常にいっぱいで、今はブラジルとフィリピンがルーツの学齢期の子が通う。言葉に堪能な母国出身者ら7人の先生のもとで、日本語と算数・数学を学ぶ。教室に通えば各校区の小中学校に登校したとして扱われ、数カ月で「修了」すると学校にうつる。05年から続けてきたこの取り組みが奏功し、中途退学もなくなった。

 外国人向けの教室はNPOやボランティア頼みという例が少なくない。浜松や可児の実践も踏まえ、自治体は責任を自覚してほしい。

 国の役割は、自治体を財政面などで支えることだ。

 文科省は新年度、外国人の就学状況について全国調査をする方針だ。実情を明らかにしつつ、具体策を着実に講じていかねばならない。

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