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 核兵器を持つ国同士の軍事衝突が南アジアで続いている。決して本格的な戦争に拡大させてはならない。最大限の自制と、話し合いによる解決を求める。

 きっかけは、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方で先月半ばに起きたテロ事件だ。インドの治安部隊40人が殺害された。

 インド政府はパキスタン側から越境したイスラム過激派組織による犯行だと主張し、その拠点を空爆した。これを受けて戦闘機の空中戦となり、パキスタンは相手の2機、インドは相手1機を撃墜したと発表した。

 カシミールをめぐっては、これまでも断続的に地上で砲撃戦があった。だが空軍機が撃ち合うのは異例だ。パキスタン領空が封鎖され、民間航空機の飛行が禁止されるなど、緊張が高まっている。

 パキスタンのカーン首相は「対話を通じて解決されるべきだ」と呼びかけた。インドのスワラジ外相も「事態の悪化を望んでいない」と述べた。その言葉を実行に移してもらいたい。

 心配なのは、両政権とも国内の支持固めのため、強硬な外交姿勢に訴えてきたことだ。

 ヒンドゥー至上主義を信条とするインドのモディ首相は4~5月に総選挙を控える。イスラム教徒が大半のパキスタンに弱腰の姿勢を見せれば、再選に影響すると考えかねない。

 一方、昨年8月に就任したカーン首相は、総選挙で「インドには絶対譲歩しない」と訴えていた。これにより軍の後押しを得て、野党第2党から躍進した経緯がある。

 長年の対立で、双方の市民は根強い相互不信を抱えている。国民感情に火がつけば妥協は難しくなる。両国政府は事態収拾に向け冷静な対応が必要だ。

 カシミールの帰属は、1947年に英国から両国が独立して以来争いの種だ。71年まで3次にわたる印パ戦争が起きた。

 しかし、当時と今では状況が全く異なる。両国は98年に競うように核実験をした。今は共に事実上の核武装国である。

 インドは約130、パキスタンは約140の核弾頭を持つと推定される。それぞれ核搭載可能な弾道ミサイルや巡航ミサイルの発射実験も行っている。

 衝突が拡大すれば、南アジアにとどまらず世界の安全にとって極めて深刻な脅威となる。

 両国に影響力を持つ米国と中国や、国連が懸念を表明し、仲裁に乗り出す構えを見せている。国際社会は一致して、危機回避のため速やかに行動しなくてはならない。

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