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 新年度予算案が、与党などの賛成多数で衆院を通過した。

 歳出総額は当初予算で初めて100兆円を超え、防衛費は5年連続で過去最大となる5兆2574億円。秋に予定される消費税10%への引き上げに備えた景気対策にも大盤振る舞い。徹底した吟味が必要なはずだが、果たされたとは言い難い。

 予算委員会の論戦で最も時間が割かれたのは、厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題だった。政策決定の基礎となる統計の信頼性を揺るがす事態である。解明に努めるのは当然だ。

 しかし、政府・与党の姿勢は、責任の所在をあいまいにし、問題の火消しを優先しているようにしか見えない。

 厚労省の特別監察委員会は、先日公表した追加報告書でも「隠蔽(いんぺい)」を認めなかった。事実に反すると知りながらうそをつく行為が、隠蔽に当たらないという判断は理解できない。しかし、安倍首相は「中立的、客観的な立場から精力的に検証作業を行っていただいた結果だ」と追認した。

 政府・与党は、野党が求める関係者の参考人招致や資料提出に小出しに応じた。その都度、野党に譲歩したように見せて、与党ペースで国会を運営する戦術ではなかったか。本気で真相を明らかにする意思があるのか、疑わざるを得ない。

 不正発覚のきっかけとなる指摘をした総務省統計委員会の西村清彦委員長について、総務省は当初、本人が多忙を理由に国会出席を断ったと与野党に伝えた。しかし、職員が西村氏に無断で説明文書をつくったことが後に判明した。驚くほかない。

 論戦の舞台は参院に移る。行政への信頼を取り戻し、有効な再発防止策を講じるうえでも、統計不正問題の究明は引き続き重要だ。

 同時に、山積する内政・外交の諸課題についても、議論を深めてもらいたい。

 ポイント還元などの消費増税対策、少子高齢化への対応、4月に迫る外国人労働者の受け入れ拡大、普天間飛行場の辺野古移設、日ロの平和条約交渉、2度目の米朝首脳会談が物別れに終わった朝鮮半島情勢……。

 夏には参院選が控える。有権者の判断材料となるよう、野党には、政府への追及に加え、安倍政権に代わる政策の選択肢を示すことも求められよう。

 参院は、衆院で可決された予算案や法案を再度審議し、必要があれば修正する「再考の府」と呼ばれる。その名にふさわしい役割を果たせるか、与野党双方がその責任を負っている。

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