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 青森県東方沖から房総沖にかけてのびる日本海溝沿いで、この先30年以内に大きな海溝型地震が起きる恐れがある――。

 政府の地震調査研究推進本部が先日、そんな長期評価をまとめた。

 この地域には東日本大震災の震源域がある。「あれから8年しかたっていないので、当分は大きな地震はないだろう」と高をくくってはならない。

 日本近海にある海溝やトラフでは、海側のプレート(岩板)が陸側のプレートの下に沈み込んでいる。プレート境界やその近辺に少しずつたまったひずみが、一気に解消されて発生するのが海溝型地震だ。

 長期評価では、過去に起きた地震の分析などをもとに発生確率や規模を見積もる。南海トラフ、相模トラフ、千島海溝などの動向についても検討し、数値を順次改訂してきた。

 日本海溝の長期評価は11年秋以来となる。それ以降の地震活動や地殻変動、その他の新しい情報を加味した。東日本大震災のようなマグニチュード(M)9級の超巨大地震こそ、30年以内の発生確率は「ほぼ0%」と判断されたものの、M7級は複数の区域で「90%」や「80%」と高い数値が示された。

 M7級は、M8級やM9級に比べて津波や揺れは小さい。だが78年の宮城県沖地震(M7・4)のように、ブロック塀の倒壊などで死者が出た例もある。対策に見落としがないか、改めて注意が必要だ。

 政府は海溝型地震と活断層で起きる地震の二つについて、発生確率の程度を「高い」「やや高い」など4段階に分類している。地震のタイプが違うため、その基準は両者で異なるが、危険性をわかりやすく伝え、行政機関が対策の優先度を判断する際の物差しにしてもらうという狙いは共通している。

 ただし、そもそも地震の発生確率の算出には不確かな面がある。自然を相手とする限界を知り、長期評価はあくまでも目安と考えるべきだ。

 実際に今回の長期評価も、過去に超巨大地震が起きた記録がないからといって、将来の発生を否定するものではないと指摘している。地震の場所や時期を予知することはできないという基本を、いま一度、認識しておかなければならない。

 日本列島は複数のプレートがひしめき合う場所にあり、陸地には数多くの活断層が走っている。いつでも、どこでも、大きな地震が起きる危険性がある。そのことを肝に銘じ、備えを怠らないようにしたい。

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