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 環境にやさしく、健康増進に役立ち、観光振興や都市部の交通機関の混雑緩和にもなる。

 そんな良さを持つ自転車をもっと使おうという動きが活発だ。交通ルールやマナーを守る「安全」に対する取り組みや、損害賠償保険への加入など「安心」のための備えも、おろそかにせず着実に進めていきたい。

 17年に施行された自転車活用推進法に基づき、政府は昨夏、自転車ツーリズムや都市部でのシェアサイクルの普及を目指す推進計画を閣議決定した。自治体も積極的で、自転車をまちづくりにいかそうと昨秋に発足した「市区町村長の会」には、約300人の首長が名を連ねる。

 ただ、自転車がからむ事故の状況は、けっして楽観できない。総件数こそ減少傾向にあるが、自転車同士の事故は15年を底に増加へ転じ、自転車と歩行者の事故は年間3千件弱で横ばいが続く。17年の分析では、歩行者が横断中(28%)、正面から(20%)、背後から(18%)の順だった。

 道路交通法では、自転車は「軽車両」にあたり、車道を走るのが原則だ。国や自治体は、自転車を自動車から守るために専用の通行帯を設けたり、車道に自転車の通行場所を表示したりしているが、総距離は2千キロにも満たない。都市部を中心に限界があるだろう。

 歩道を走る際は歩行者優先で、車道寄りを徐行する――。道交法はこうも定めるが、守られているとは言いがたい。歩道を歩いていて、勢いよく走ってきた自転車にひやりとした経験がある人は少なくないはずだ。

 自転車で事故を起こせば、責任はけっして軽くない。過去には、自転車側に1億円近い賠償を命じた判決もある。

 被害者への補償を確実にするため、自転車の利用者に賠償保険への加入を促すことが喫緊の課題だ。国は有識者会議を立ち上げ、強制加入制度の創設も視野に検討を始めた。自動車にならった発想といえる。

 先行するのが自治体だ。保険加入に関する規定を盛り込んだ条例制定の動きが広がる。昨年末時点では、埼玉など6府県と名古屋など5政令指定市が加入を義務づけており、他に10都道県と3指定市が努力義務を課している。

 いずれも罰則はないが、アンケートによると、自分の自転車で保険の有無を確認したり、加入したりするのを促す効果が期待できそうだという。

 自転車は凶器になりうる。特に子どもや高齢者らに配慮しながら、可能性をいかしたい。

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