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 森友学園への国有地売却問題が明らかになってから2年余り。前理事長の籠池泰典、妻諄子(じゅんこ)の両被告に対する刑事裁判が大阪地裁で始まった。

 学園側が国や大阪府、大阪市から補助金をだまし取ったとされる事件である。両被告とも争う姿勢を示したが、証拠に基づく厳正な審理を期待する。

 忘れてならないのは、森友問題を巡る疑惑の全体像は、より広く、深いことだ。

 財務省はなぜ、省の内規から外れた特例で学園と国有地の貸し付け契約を結んだのか。その後、土地の鑑定価格から8億円余、8割を超える値引きをして学園に売却したうえ、価格を非公開にしたのはなぜか。決裁文書の改ざんという不正をしてまで、何を隠そうとしたのか。

 公平であるべき行政が大きくゆがめられたと言うしかない。公金の出入りをチェックする会計検査院にうその資料が出され、国会でも改ざんした資料の提出と虚偽答弁が重ねられた。

 その結果、国会が果たすべき行政監視の役割は妨げられ、機能しなかった。民主主義の根幹が揺らいでいることを、いま一度思い起こさねばならない。

 市民らからの告発を受けた検察は昨年、財務省幹部ら対象の38人全員を不起訴処分とした。それが妥当かどうか検察審査会の審査が続いているが、刑事責任の追及とは別に、全容を解明することが国会の責務である。

 国土交通省は2月、国が大幅値引きの根拠とした土地の試掘調査の写真について、複数の穴を写したという3枚の写真が同じ穴のものだったことを認めた。地中のごみの撤去費用から値引き幅を決めたというが、国が主張する深さまでごみがあったのか、疑惑は深まる。

 それにもかかわらず、森友問題をめぐる国会の審議は乏しい。6日の参院予算委員会では野党から質問が出たが、議論は深まらなかった。安倍首相は「司法の手が入り、処分もされた。麻生(財務)大臣のもとで検証が行われ、処分もなされた」と答弁し、問題は決着済みとの認識をにじませた。

 しかし、文書改ざんに関する財務省の調査は、国有地を担当する理財局の事案として片付けた。国会で虚偽答弁を続けた局長を「適材適所」と評価した麻生氏は責任をとらないままだ。

 安倍首相の妻昭恵氏は、森友学園が開校を目指した小学校の名誉校長に就いていた。このことが問題の背景にあるのでは、という疑念は消えない。

 幕引きは許されない。国会が問われている。

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