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 政府は、携帯電話の通信料と端末代のセット販売による割引を禁じる方針を決めた。今国会に電気通信事業法の改正案を出した。解約を不当に妨げるような料金設定も禁じ、販売代理店は届け出制にする内容だ。

 携帯電話の料金は、2004年から事前の規制がなくなり、業者間の競争に委ねられてきた。今回の改正では、部分的とはいえその原則を転換する。国会での審議では、丁寧な説明と十分な議論が必要になる。

 改正案の背景にあるのは、セット販売により、利用者間の不公平感や料金プランの分かりにくさが生じ、競争を妨げているとの判断だ。高額端末の大幅な購入補助は事実上、大手3社しかできないため、格安スマホ業者を不当に不利にしているとの指摘もあった。

 携帯電話は希少な電波を利用し、設備負担が大きく寡占化しやすいという産業の特性がある。政府による一定の介入が必要な局面はあるだろう。

 分かりやすい料金体系にすることで、消費者が自分にあった商品・サービスを選びやすくし、事業者間の競争を促すという方向性は妥当だ。これまでの総務省のガイドラインなどによる働きかけが十分功を奏さなかったため、法改正に乗り出したのも理解できる。

 だが、セット販売自体は他の業種や諸外国にもあり、公正取引委員会も「直ちに独占禁止法違反になるわけではない」としている。携帯に限って法律で禁止するのは、かなり踏み込んだ措置であり、利害得失について納得のいく説明が求められる。

 大手3社はすでに、通信料と端末代をセットにしない「分離プラン」を増やす方針を示している。現在主力の第4世代携帯は機能も成熟しており、端末割引をなくしても大きな問題は生じないかもしれない。

 ただ、今後、画期的な新機能が生まれた場合、セット販売の禁止が普及にマイナスとならないか、注視が必要だ。技術の進展が鈍れば、長期的には消費者の利益にもならない。

 改正法案には「適正な競争関係」といった表現があるが、具体的な内容は省令に委ねている。過剰な規制や行政の裁量的な介入につながることがあってはならない。

 携帯料金は国民の関心が高いだけに、政治家が「値下げ」を強調して人気取りの材料にする懸念もある。国会では、どのような競争環境を整えることが、持続的な消費者の利益につながるのか、実のある議論を期待したい。

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